2022-01-09

週刊俳句 第768号 2022年1月9日

第768号

2022年1月9日

 

 

■2022年「週刊俳句」新年詠 (2)■ 

(クリックすると大きくなります)

 
  


 
二〇二二年新年詠(2) (到着順)

1/9/16:15 高山れおな様ご投句の記載漏れを修正しました
 
自転よし地球全土を寅年に  佐藤文香
電池式叔母不時着し歌留多飛ぶ    楠本 奇蹄
急須置き年賀の包み紙破る    野口裕
元日の火山だんだん消えて君    ごしゅもり
新居にも実家にも来て年賀状    中矢温
照る尾根の流るるごとく初列車    髙木小都
お雑煮にいろいろ今年もいろいろ    久留島元
バーベルの五キロ持ち上ぐ去年今年    隠岐灌木
還暦のどこへかへらう初雀    有本仁政
軽く息ととのへてより初鏡    柏柳明子
木の国の草餅香る淑気かな    堀本裕樹
若菜野や若人はしも詩のごとし    矢口晃
病ひなり未だ賀状を読めずゐる    小池康生
あをあをと門の間や松飾    中西亮太
口の端のごまめの粘りとかその他    島田牙城
ひとしきり鳥の声する初鏡    月野ぽぽな
初台の松屋あかるき三日かな    村越敦
初夢のわたしゲルニカめいてきれい    夜行
元朝の路地に大きな綿ぼこり    柘植史子
初乗は大きな人と小さき旅    鈴木牛後
淑気満つレッドゾーンの空室に    うっかり
どら焼きと三笠のあわひ雪ふるる    竹井紫乙
著者は美美読み返す読初の書よ    中山奈々
初富士を登る恐竜ゐただらうか    西川火尖
辻斬りの如き詩に遭ひ嫁が君    田中目八
靴紐を結ぶ破魔矢を地へ置いて    青木ともじ
一枚目はいつも富士山初暦    藤崎幸恵
あらたまの赤子の髪に口づけを    対中いずみ
虎柄のパジャマ着てさうくしやみして  小川楓子
LにMぶつかり飛ぶや福袋    黒岩徳将
主人引く犬が先頭初詣    小川軽舟
初東風はきみつきさらづ瓦照る    大塚 凱
人の日の人の共犯たくらむ人    橋本直
轟かす喇叭水仙年新た    赤羽根めぐみ
宝船敷いて頭の毛の伸びる    山田すずめ
脳髄に潮汐のあり宝船    加藤右馬
降ろしゆく錨【アンカー】深く去年今年    望月とし江
祝箸血の繋がりを言ふ勿れ    津川絵理子
隆々と揃ふ鼻梁や出初式    このはる紗耶
玄関の鏡へ虎は非対称    湊圭伍
鳥総松すずめ弾んで見せにけり    井原美鳥
寝正月ゆびと輪ゴムの遊びをり    千野千佳
元日のバドミントンの女の子    矢野玲奈
十時からあんぱん作る二日かな    松尾和希
二日はや豚汁の味噌溶いてをり    松尾清隆
万事快調思えばいつも寝正月    森 青萄
まぶた紅く熱くなるほど初日の出    木田智美
おだやかに危機のありけり去年今年    しなだしん
店の裏家の裏見て初電車    岡田由季
切株はハートのかたち初詣    金子敦
ひよどりのひだるしと来る五日かな    川嶋一美
寒燈に詩を書きつけてまた歩む    木塚夏水
曳猿の跳ぶ階を逆立ちて    藤井祐喜
御降や御寺の味のマサラチャイ    河本かおり
流れゆくもの数へをり若菜売    常原 拓
年玉や天下の金を回さんと    神保と志ゆき
一月のかんばせ馨る数寄屋橋    宇志やまと
中折れのままで貫く去年今年    喪字男
輝ける普通の日々を四方拝    浅沼璞
海鳥は喜びありや船初    青島玄武
初日の出 未練がましいひとしずく    西沢葉火
テレビより五分遅れかわが初日    駒木根淳子
初生駒悟朗清子の霊が顕つ    堀本吟
あをくなるまで初凪の窓磨く    生駒大祐
この星を竜の玉よりふと眺め    薮内小鈴
人づての近況を聞く草石蚕かな    恩田富太
二年ぶりそびえてどんど出番待つ    紀本 直美
つぎつぎと来ては弾んで初雀    松野苑子
バターになるまで新年の虎走る    羽田野令
薺粥不一と書きしのちのこと    五十嵐秀彦
灰白質が液に浮いてて四方の春    平野光音座
甘露煮の鯊食べてゐる七日かな    西村麒麟
冷えびえと年越す聖域こどもらの    井上雪子
夜になればそらはよぞらに猿廻し    高梨章
初空や日にち薬のめぐり良き    瀬戸優理子
雪国へ帰りしひとよ窓の雪    斎藤悦子 
勇者にはなれずに若菜刻みけり    龍翔
空き缶の影の丸みの三日かな    吉川わる
人日の橋あをあをと灯りけり    村田 篠
初寅やつばさの如く火は勢ひ    石地まゆみ
ゆれていて初日から目を逸らせない    近恵
元旦の禁じられたるマヨネーズ    倉田有希
枯蓮の突つ伏す水の白さかな    浅川芳直
神てふよろずの理屈大旦    琳譜
人日の五目釜飯焦げ刮ぐ    津髙里永子 
湯婆婆のぬるま湯となるお正月    宮本佳世乃
初東風たわたわ大枝落ちしが寄り来たる    関悦史
巌に根を垂れたる景も初社    日原 傳
飾るとて空気に蕪の吊りさがる    鴇田智哉
エメラルド色に矢羽の破魔矢かな    松本てふこ
初霞眼は文字を吸つて編む    佐々木紺
「どや?」と問ふ関西人や姫始    林雅樹
遠まはりして来し顔の礼者かな    下坂速穂
おそるおそる買ひ物に出る二日かな    依光正樹
言の葉の塔に鳥来る初景色    依光陽子
手触りはふとんのなかの初景色    山田耕司
画像処理待つて一蝶忌の紅茶    土井探花
元日の始発二十の扉開く    亀山鯖男
ななくさがゆ耳鳴りが海だつたころ    高橋洋子
鶏日の湯にカピバラの目をつむる    中嶋憲武
紙束をとんと揃へて松明くる  西山ゆりこ
家々の餅あたたかくやはらかく   上田信治
虚の虎が来る不織布の霞から   高山れおな
 
 
 
〔今週号の表紙〕ミコアイサ…岡田由季  ≫読む 

執筆者プロフィール…… ≫読む


新アンソロジー『俳コレ』刊行のごあいさつ≫読む
週刊俳句編子規に学ぶ俳句365日のお知らせ≫見る
週刊俳句編『虚子に学ぶ俳句365日』のお知らせ≫見る