【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
大島渚「カリフォルニアの青いバカ」
憲武●前回、「いか天」というワードが出まして、それで思い出したバンドで、大島渚「カリフォルニアの青いバカ」。
憲武●お送りしました「カリフォルニアの青いバカ」、作詞作曲はみうらじゅんです。大島渚っていうバンド、メンバーはみうらじゅんを始めとして、漫画家、グラフィック・デザイナー、カメラマン等の職業の方たちで、いわゆる業界バンドですね。漫画家では、あと一人、喜国雅彦がベースで参加してました。バンド名義のアルバムが一枚出てます。あと「アイデン&ティティ」という映画に2曲くらい提供してますかね。
天気●聞いて思い出しました。ありましたね、大島渚。でも、曲はぜんぜん憶えてなくて。ロックンロールですね。シンプルに3コードの。
憲武●はい。シンプルです。当時、いか天観てましたら、いか天というのは、1989年から1990年にかけて放送されていた「三宅裕司のいかすバンド天国」というコンテスト番組です。司会が三宅裕司と相原勇でしたね。
天気●よく観ました。ほんといろんなバンド、レヴェルも方向性もヴィジュアルも多様で、観ていて面白かった。
憲武●で、その番組観てましたら、出てきた訳です。タイトル、受けましたね。
天気●バンド名ともども、いわゆる出落ち。
憲武●アルバート・ハモンドの「カリフォルニアの青い空」から頂いてるんですね。 一ヶ所違うだけなんですけど、インパクトありました。皮肉もユーモアもある。
天気●さわやかな曲でしたよね。「カリフォルニアは雨が降らない♪」。でも、いまあらためて聴くと悲しい歌だ。「そう聞いてたけど、土砂降りの日もある♪」。カリフォルニアに夢を求めて出てきたけど、うまく行かないって曲だ。「青いバカ」は、もちろんぜんぜん違ってて。
憲武●「青いバカ」の歌詞は、当時は、あのチェルノブイリ原発事故から3年という時期で、日本国内はバブルで浮かれまくってる頃でしたから、「ちょっとアブナイ線で行ってみました」的に、軽く歌ってますね。たぶん、ひみつのアッコちゃんのあとテーマ、「すきすきソング」(歌:水森亜土)が下敷きにあるんでしょうね。原発という言葉も出てきますけど、「元気ハツラツ」との韻の関係で、持ってきてるだけのような感じですが、皮肉にも受け取れます。
天気●みうらじゅんが案外ちゃんとギターを弾いてハモニカを吹いてるのに、軽く吃驚しました。
憲武●この番組に出るために五回は練習したそうですからね。大島渚ってえ、バンド名もですね、「なんで?」って思いましたけど、有無を言わせないインパクトありました。あとでみうらじゅんの言ってるのを聞いたら、「大島渚の罵倒、バカヤローにロックを感じた」と言ってまして、たぶんみうらじゅんのロックスピリットに火をつけるものが、あったんですね。ええ。
天気●大島渚監督はあの頃、「朝まで生テレビ」の罵倒で売り出してましたからね。
憲武●はい、野坂昭如と殴り合ったり大変な方でしたよ。今も時々聞いてるアルバムです。大島渚の「大島渚」。
(最終回まで、あと775夜)
(最終回まで、あと775夜)
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