2022-08-14

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】ナット・キング・コール「Those Lazy, Hazy, Crazy Days Of Summer」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
ナット・キング・コール「Those Lazy, Hazy, Crazy Days Of Summer」


天気●とりあえず夏の歌ってことで。ナット・キング・コール「Those Lazy, Hazy, Crazy Days Of Summer」。1963年の同名アルバムのA面1曲目です。

 

天気●しっとりした曲が多い大歌手だと思うのですが、これはちょっと異色? 元気がいいです。ピアノの弾き語りで知られますが、アレンジはそれとは程遠い。オーケストラにバンジョーまで入ってます。ごきげんサウンドです。

憲武●これはわりとよく聞くといいますか、耳覚えのある曲ですね。今の今までタイトルは知りませんでした。

天気●歌詞は、「あの怠惰で、頭がぼんやりして、クレイジーな夏の日々、ソーダとプリッツェルとビールの日々♪」てな具合で、かつての夏を振り返る感じでしょうか。

憲武●夏の典型を並べて、こんな夏だったらいいなと歌ってる感じがします。

天気●「ビーチに行けば、ビキニの女の子たち。かわいいんだけど、絶対に水には濡れないんだよね♪」とか、「ロマンチックなシーンを繰り広げるスクリーンよりも、それを観ているクルマの中のほうが、キスが多い♪」とか、いかにも60年代アメリカです。ただ、歌の中の登場人物は、なんだか白人ぽくて、そのへんがナット・キング・コールへの批判、白人に媚びたような音楽という批判にも結びつきそうです。

憲武●しばしば人種差別に立ち向かわないということで、心ない人々から批判されたようですね。

天気●ところで、この曲・このアルバム、当時の邦題が「暑い夏をぶっとばせ」だったことを、あきれるとともに萎えました。洋楽や洋画に邦題をつけるの、やめたほうがよかったです。「トンデモ邦題」を面白がるというのは、楽しみ方としていくぶん倒錯的だし、ほんと、クソ邦題が多い。そのままカタカナにしとけ、って感じです。意味が知りたい人は調べればいいんだから。

憲武●グッとくる邦題って、なかなか無いんですよね。やたらと「悲しみの/哀しみの」がついてたり。

天気●というわけで、クレイジーな夏ですぜ、ほんと。


(最終回まで、あと748夜)

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