【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
アジアン・カンフー・ジェネレーション「リライト」
憲武●時々、過去の自分の生活をやり直したいと思う時があるんです。恥ずかしい思い出とか、悔しかった思い出が蘇って来た時なんですが。そういう訳でアジアン・カンフー・ジェネレーション「リライト」。
憲武●いわゆるアジカンですね。アジアン・カンフー・ジェネレーションは1996年に関東学院大学の音楽サークル内で結成されたバンドです。もう20年以上やってるわけです。老舗ですね。
天気●10年近く前、音楽評論家で俳人でもある平山雄一さんがプロデュースしたコンサートにでかけ、そのとき初めて、このバンドを聴きました。ゼップ東京という会場のせいもあるのでしょう、ひさしぶりに浴びるように音を聴いて、とても気持ちがよかったです。
憲武●そうでしたか。バンドの形態って、全員がボーカルを取れるビートルズ型とボーカルを一人に集中するストーンズ型とあると思うんですが、このバンドはビートルズ型ですね。また下北系と言われるバンドでもあります。
天気●下北系! 下北半島ではなく下北沢ですよね(冗談です)。再開発で駅の周りがだいぶ変わったそうですが、猥雑さの残る、活気のある区画でしたよね。
憲武●今はすっかり綺麗になっちゃったみたいで、行ってないんですけど、駅降りてごちゃごちゃっとした感じがとてもよかったんです。このバンド、ロックと言われる楽曲をやっていて、「らしくない」ファッションとか風貌もいいんです。ボーカルの後藤正文は、ロックボーカリストというより大学教授のようです。
天気●はい。文系大学院生みたいな感じで、歌詞の先鋭さとよく合ってると思います。
憲武●この曲「リライト」は、2004年発売のセカンド・アルバムに収録されてまして、アニメ「鋼の錬金術師(I期)のオープニングテーマでもありました。この曲を初めて聴いたのはカラオケででした。2005年当時、僕は会社員だったんですが、何かの2次会でみんなでカラオケに行きまして、その時、新入社員の女の子が、「リライト」を歌ったんです。サビの「消してーリライトしてー」の部分にヤラれまして、数日のうちにアルバム「ソルファ」を購入していました。という。
天気●いい出会いですね。ギターのアルペジオとストローク、ベースの8ビート、気分の上がる音です。
憲武●リライトせずに生きていけるよう、頑張りたいと思う今日この頃です。
(最終回まで、あと743夜)
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