2022-12-11

【連続掲載】作品50句〔3〕 ■青島玄武 万葉まほろば線 50句




 

  万葉まほろば線 青島玄武

木々芽吹く峠峠を越えてなほ

梅散るとそのまま風に融けてゆく

税務署のついでに植木市に寄る

菜の花を本尊とする古刹かな

畑焼や玉突き事故の現場そば

墓石の上で激しき恋の猫

野火守の同じ顔なる老夫婦

あまさかる鄙のほとりの桜餅

深吉野や散り敷きてなほ花盛り

花の山仰臥涅槃の御姿

石屋からカレーの匂ひ花の春

降る花を駆けゆく三本足の犬

卒園の子も両親も鎧ひをり

藤棚の奥へ奥へと杣の道

春暑き住宅街をスーパーカー

常連にトイレの場所を指南され

田水沸くカーブミラーも年古りて

燕子花噂話に暮れにけり

蛍火を見る対岸の煙草の火

滝壺の空を渡せり蜘蛛の糸

洋菓子屋駐車場にも薔薇咲かせ

あぢさゐのまま解体のすすみをり

街があり万緑ぐいとこじ開けて

煙草と汗と時代の臭ふ床屋かな

停電後冷やし中華の運ばるる

一日中蚊に食はれたるやうな空

また同じ服を選べり朝曇り

呼び鈴に犬の吠え出す夏の寺

お百度へ万のつくつく法師かな

牛小屋の裏の温泉涼新た

ガス台の五台が稼ぐ霧の朝

冠に髪を納むる風の秋

稲干して洗濯物を取り込んで

覗きたければまこと焼栗なりにけり

ぬいぐるみ抱いて下校す柿紅葉

影鬼の一人転べば草雲雀

真夜中の金木犀の並木道

コスモスにひとりぼつちのなかりけり

木枯らしや真白きチェロのケース背に

毛糸編む老婆万葉まほろば線

冬の虹雲に届かずじまひなり

塾通ひ大中小の時雨傘

枯葉降る小さき靴も靴箱へ

初夢の自分がすこし痩せてをり

小寒や三味線拭けばきうと鳴き

浮き浮きと重たき鍋を七日粥

錆び釘にまた提げ掛くる初暦

いつまでも冷たき月を法隆寺

なんとなく冬季五輪が点いてゐる

帰宅せり凍れる夜を灯すため

4 comments:

義順 さんのコメント...

恒例の「落選展」が、12/4号でいきなり中止!とある・・私(片岡義順)の今年の落選50句「舞うて舞うて舞うて海まで枯一葉」は掲載されない・・他の投稿者も面食らっているのでは(青島さんは掲載OK)・・中止なら早い段階で“告知”すべきです・・これまでの投稿者、読者へ礼を失する(落選展存否の是非は問うていない)・・これは一種の夜逃げだ(笑&笑)・・まことに後味が悪い・・

落選句の代わりに、日頃からの俳句の自論を述べさせていただく・・
俳句に限らず、すぐれた文芸(文学)には次の4点がある・・
①読む者の「受け取るべき何か」がある・・
②作者の顔=「生きざま」=「心のあり様」=「知性と精神性」がある・・
③生きた社会・時代がある・・
④歴史と文化と伝統がある・・
これのない俳句はアンコのない饅頭(味わうべきものがない)・・芭蕉の句が文学(文芸)として成り立ち「俳聖」と崇められるのはこの4点が完璧に満たされているから・・芭蕉後にこの4点を何人の俳人が満たしたのだろうか・・

俳句制作のピークは生涯で10年しかない(その前後はオマケ惰性)・・575の閃き(神からのプレゼント)は長く続かない・・火花・花火の一瞬、刹那・・大俳人の芭蕉蕪村子規はすべて10年でその業績を終えている・・
この10年は、たいてい不惑を越えてからやってくる・・それまでは“資本の蓄積”と心得るべし・・持っている才能は大切に、ムダにすり減らしてはいけない・・

こういうジンクスがある・・20、30代に活躍した俳人は早死にする・・子規、杉田久女?田中裕明等・・天才画家に多いが、与えた仕事=使命を終えたら天は容赦なくこれを見捨てる・・この非情!恐ろしいジンクス!・・これ以上は言わない(笑)・・

俳句をみるに私は句を見ない、人も見ない・・見るのは作者の到達した「知性と精神性」である・・人生のすべてが575に具現表象されている・・
私は句から作者の風貌、氏素性育ちを推測できる・・「文は人なり」ウソはつけない・・
片岡 義順  

青島玄武 さんのコメント...

すみませーん。こういうコメントなら、上田さんに直接訴えてください。わたくしの作品の所にコメントするのはそれこそ「礼を失する」行為ですよ。だって、わたくしの作品に対するコメントとしてこの欄は設けてあるのであって、『週刊俳句』全体へのコメント欄ではないですから。

それとなんですか?

「青島さんは掲載OK」ってなんですか?

それって嫌味ですか?

わたくしとハードエッジさんは、11月に入っても落選展が開かれないので、直接上田さんに訴えた人間なんですよ。(先週から掲載されている「解題・作品50句(落選展の代わりとして)」に書いてあったはずです)

あなたは直接訴えられましたか?

こういうことはご自身のSNSでやってください。

あ。

「青島さんは掲載OK」って誹謗中傷ととらえていいですか?

義順 さんのコメント...

片岡義順です・・青山さん、申し訳ありません・・勝手に青山さんの50句にコメントを挿入しました・・非礼はお詫びします・・
編集部へは、直接メールで私の気持ちを伝えました・・他の投稿者、読者にもと思って、青山さんの50句をお借りしました・・青山さんのご不快のメッセージを拝見して、安易だったと痛感しています・・重ねてお詫びします・・
<<「青島さんは掲載OK」って誹謗中傷ととらえていいですか?>>・・まさか!何故ですか?・・まったくその気持ちはありません・・見も知らない、作品も読んでいない青島さんを誹謗中傷する理由は私にはありません・・むしろ「編集部に訴えた」男気に敬服します・・
私も50句を編集部宛送信しました・・不掲載でした・・その事実、ギャップを「青島さんは掲載OK」(他にも数人?)と、表記しただけです・・他意はありません・・
最後にまた言います・・非礼の事お詫びします・・また「青山さんへの誹謗中傷の気持ちは、まったくありません・・事の起こりは「いきなり中止の非礼」にあるのです・・諸案に鑑みご寛容にお願い申しあげます・・
片岡 義順

青島玄武 さんのコメント...

片岡義順様

委細了解いたしました。

>「青島さんは掲載OK」

とわたくしだけ名指しで槍玉に挙げられる理由がわからなかったので、とりあえず安堵いたしました。

企画が突然終わりになる理由についてはわたくしもまだ溜飲が下りてないところですので、また違った形にでも参加できたらしたいです。なにしろこの落選展に出すために角川に50句出しているので。(;・∀・)

あと、間違われやすいんでアレなんですが、わたくしは「青山」でなくて「青島」です。(笑)