花氷 ハードエッジ
東風吹かば鶏冠高く風見鶏
雛様に珈琲苦し我が飲む
畑打の仕上は雷に託しけり
大いなる自重の末の大雪崩
うすらひのうすらわらひの水たまり
美しき夜道を帰る彼岸かな
みるならばぼうつとみたき桜かな
四十・五十・六十余年昭和の日
ひよろひよろと白ひげ伸びて躑躅枯る
一粒で二度美味しいぞ花は葉に
花蜜柑その他橙・金柑も
幼子も匙を器用に豆ごはん
赤に黄に傘や合羽や梅雨楽し
荒梅雨の袋ぶらぶらランドセル
枇杷の種ほどの俳句も良からずや
青空に憧れて黴青むなり
もぎ尽くすまでは我家の茄子畑
庭干しの鯵の開きを今朝の幸
道端の草もずぶ濡れ撒水車
東京で見かけし電車夏の山
夏雲の白く眩しく美しく
空母とも呼ぶべき雲が夏の空
風死してピクリともせぬ暑さかな
炎天の足下に焦げて影小さし
地の涯に天を支ふる花氷
雷の字は雨と田んぼや微笑まし
雷鳴の渡り廊下を給食が
虹が出て橋の下より拾はるる
虹の根を煎じて飲めと言はれけり
扇風機除湿機空気清浄機
どうどうと滝の重みの夕立かな
夕立にとても大きな駐車場
鯵フライ文明開化の味がする
肉を焼く煙に噎せて夏の月
軽トラに夜店一式積み込んで
ティアラして夜店を帰る女の子
帰り道暗し夜店を振り返る
火蛾と言ふ美しき名の太り肉
通ひ路の雨を厭はず火取虫
ががんぼのやうな人生かも知れぬ
子燕の喉に押し込む蜻蛉かな
恋ゆゑに海月となりし天道虫
やや小さき蟇の来てゐる今年かな
蠅を取る道具色々郷土館
松葉牡丹ざらりと種を零しつつ
湖の闇の深さよ遠花火
木枯を切り分けてゐる風見鶏
ことことと弱火のちから冬籠
怪獣のよく出ることよお正月
山の湯に朝な朝なの寒卵
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