2023週刊俳句新年詠（1）

2023年週刊俳句新年詠（1）

 

 

 

2023週刊俳句新年詠

わたしにはせいけつすぎる初御空    谷口智行
雲は鷹になりチベットの死者の書    宇井十間
仏の座免疫力は回復す    瀬戸正洋
初凪や着岸を待つにつぽん丸    熊谷 尚
飾り切りといふ慶び年始    杉田菜穂
１月の１日チンアナゴにドット    芳野ヒロユキ
町内の裏を並べて来る初日    浅川芳直
粛清の二月　若きコンドル群れをなす    小田島渚
お年賀とたまごサンドと茹卵    中矢温
仏の座わたしが宇宙船ならば    箱森裕美
駅そばの熱きどんぶり去年今年    村越敦
去年今年紐の如きを啜りをり    鈴木茂雄
去年今年ガゴンと水道管ひびく    飯田冬眞
元朝や思想は形状記憶シャツ    あおい月影
未読の書からは選ばず読初は    仲 寒蟬
 子どもより戦車を選ぶ国の春    赤野四羽
初詣脚もとの雪照らし合ひ    鈴木総史
愛ありせばかくも深く兎跳ぶ    大井恒行
メルセデス・ベンツの小さき注連飾    中西亮太
鏡餅抱いて屈伸始めたる    竹内宗一郎
耳動くことを特技にひめ始め    篠崎央子
初鏡チーズと言えば言っている    んん田ああ
初日の出前の南を急ぐ星    福田若之
リビングの聖樹明滅年の夜    杉原祐之
初日の出どうだと言はむばかり出で    吉川わる
だれも出て来ない玄関福寿草    佐山哲郎
呼び交す元日の夜も日のやがて    生駒大祐
片づかぬ机に立てて初暦    小川軽舟
去年今年柱時計のねじを捲く    五百石
庭先でぽこんぽこん、今居間で  わたなべじゅんこ
滑り台の頂に立つ大旦    中村想吉
冷凍庫に一塊の肉去年今年    山田すずめ
初凪の鳶をとらへし指めがね    井原美鳥
双六に夜のにほひの残りをる    山口昭男
正月や真顔で回すフラフープ    西生 ゆかり
初日影頭の透くる深海魚    小谷由果
獅子舞の耳のぱたぱたしてをりぬ    千野千佳
水槽に初日満ちをり遁走ならず    五十嵐秀彦
初明りてのひらにのる宇宙船    尾内以太
手水より伊勢海老のごと初氷柱    曾根　毅
日向ぼこのポーズが変だ一目惚れ    宮崎斗士
初鳩や給水塔の丘が好き    クズウジュンイチ
直球質問にフォーク回答初昔    玉田憲子
薺なずな都会の小さき墓地に行く    中内火星
午後二時の初湯に去年の髭を剃る    マイマイ
ひゆーんと来てぱーんと死せるを無季の句に   岡田一実
つややかな化粧柱や鏡餅    広渡敬雄
猫腹中の虫もあらたま迎へけり    佐藤りえ
元日の信号しかと守りけり    青木ともじ
越年の朝日の中や蟬の殻    守屋明俊
恒星が一〇〇〇〇〇〇〇〇分の一照らす    川合大祐
ピーターはこのジャムが好き寝正月    小林かんな
縦に読み横にして読む賀状かな    津川絵理子
あほうに舵をきられて去年今年    琳譜
初日さす停めつぱなしのカローラに    林雅樹
お降りのあとの霰も上がるなり    南十二国
からからとやがてがらがら歌留多読む    鈴木牛後
初空爽やか戦闘力といふ言葉    藤田哲史
駅伝の号砲ちよろぎ取り落とす    常盤 優
並びゐて背のびし跳び上がり初日    内村恭子
元日ややつぱり面白いドリフ    茅根知子
春永の真円描く波紋かな    髙木小都
ポストまで歩く道までお正月    久留島元

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