2023-01-08

2023週刊俳句新年詠(2)

 2023年週刊俳句新年詠(2)








2023週刊俳句新年詠(2)

双六や無神論者の駒進む   池田宏陸
地球儀の裏側暗し雪しまく    菊田一平
ヒット&うさぎの尻でランナウェイ    湊 圭伍
火の花を買ふ初夢の捏造に    佐藤文香
初灸の煙一心立ちのぼる    つしまいくこ
電波混むスマホを抱き寝正月    河本かおり
消防隊員手繋ぎ体操元日に    黒岩徳将
迎春の郵便夫彗星のごと    夜來風雨
裏山の雑木林に初日かな    金子敦
ドアにPULLドアにPUSHや去年今年    雪我狂流
二年残ってた五年日記ひよひよと書きはじめ    いなば也
季語とは知らず初夢のなかの人    有本仁政
引き返したがるを止めて初御空    岡村知昭
紅蓮華ジャズアレンジ元日のペニンシュラ    酒井 匠
イヤホンを志ん朝漏るる初電車    柏柳明子
雲梯と触りあう春ぎこちなく    赤羽根めぐみ  
うちよせてみんなの電波初山河    堀田季何
〽もう幾つ寝ればと歌ふ寝正月    浅沼 璞
三日はや大根なくて夫怒る    斎藤悦子
元日を過ごすふつうの休日で    大野泰雄
お正月泣くでなけれどなみだして
 しなだしん
人類の行方を捜す三日かな    隠岐灌木
橋梁の反りにも淑気満ちてをり    加藤右馬
つま先の遠くに見ゆる初湯かな    ばんかおり
鯰より元旦誤植知らさるる    島田牙城
初夢の橋のむかふをバンクシ―    駒木根淳子
エントロピー増加加速や去年今年    望月とし江
お降りのほどなく上がりおかめ蕎麦    柘植史子
武蔵野の空しらじらと初詣    齋藤朝比古
曳猿が飄々として目出度けれ    藤井祐喜
箱根駅伝下から母校探す指    たま走哉
子がこちら向く時ねらひ初写真    西丘伊吹
こころまで食ひこむ羊日のブラジャー    土井探花
藪柑子 空に展けて赤い実に    浅見 百
虚数みな実数にして初仕事    月波与生
蹴とばした小石のひとつ初星に    瀬戸優理子
年酒酌む筑豊弁と筑後弁    馬場公江
しのびこむマイナーコード三日はや    鈴木節子
伊勢海老ぶつ切り此の世は一度きり    谷 雄介
初夢に何か忘れてきたやうな    松野苑子
初風やパンもお餅も焼くグリル    宮本佳世乃
三日出れば三日休める四日かな    石原ユキオ
初詣行き交うみんなひとりっ子    紀本直美
新年のシャッター前にある蘇鉄    藤田 俊
弾初のグリッサンドの光かな    月野ぽぽな
凧揚げて国より先に死ぬなかれ    西川火尖
鉄の香をいささか含む淑気かな    三島ゆかり
白妙の敷布ぱりりと御歓楽    山西雅子
初仕事辛口カレー欲す昼    鈴木不意
初荷発つ大杉玉に見送られ    吉田千嘉子
初空へ楕円に散つて数字かな    佐々木紺
人の日の園児ら動く柵の中    橋本 直
目玉なき貌に睨まれ達磨市    宇志やまと
初茜キャラメル溶かす舌の熱    伊藤左知子
淑気とは何のことやらフタにハコ    山田耕司
坐りよきは紀伊出でて橙となり    花尻万博
単純な男のやうな餅一個    矢口 晃
あら玉のキンダイゴシュめざす兎    森 青萄
元旦の紙垂は戦ぐか新聞来    井上雪子
初写真雷門の文字入れて    岡田由季
日や冷めて女礼者が水府より    九堂夜想
音のないひかりをのんで初雀    高梨 章
この先に七曲りあり恵方道    日原 傳
蹲り三日の人が啜り泣く
 青島玄武
四日はや映画の朝日浴びてをり    村田 篠
初晴のさし入るつねの孤食かな    関 悦史
女狐の來て初夢を閉ぢにけり
 常原 拓
ザ・パンチの眼鏡いきいき年新た
 亀山鯖男
初夢に合はぬ高さの枕かな
 菊池洋勝
手拭を颯と俎始かな
 神保と志ゆき
淑気満つ小さき眉のあかるさに
 楠本奇蹄
ほろほろと元旦のわが臍にゴマ
 笠井亞子
いかのぼり子の身の丈の幼なぶり
 鈴木トモオ
8といふ数を弾ませ賀状書く
 永山智郎
人日のミッキーマウス嗅ぎにけり
 ごしゅもり
初夢を疾る阿闍梨に従へり
 竹岡一郎
賀春貼りシャッター通り華やげる
 野口 裕
初夢が波平時速200km
 喪字男
初雀吉事のやうに湧き溢れ
 小林千史
連凧のゆたかにうねるめでたさよ
 三浦 郁
昔らしくて消ゴムと冬かもめ
 鴇田智哉
ぽつぺんをかはりばんこに三姉妹    松田蕾子
嗚呼ひゃっこい仕事始の日の便座    近恵
鏡餅てかてか不老不死白し
 八上桐子
筋肉を競べてをりぬ初湯かな
 西澤みず季
お元日また一年の砂時計
 倉田有希
一家皆働きに出し飾かな
 下坂速穂
時じくの花のうれしき室の花
 依光正樹
わたくしといふ一瞬や初日の出
 依光陽子
霰だか雨だか雪だか御降が
 松本てふこ
目の前の全てが千葉や猿回し
 西村麒麟
御堂筋沿ひの御節にセロリかな
 中山奈々
年迎ふ戯画の兎は矢を放ち
 石地まゆみ
国籍を知らぬ赤子や初日の出
 三島ちとせ
初笑ひ鳥の集へる金魚池
 龍翔
銀座線にナカモトサトシ淑気かな
 平野光音座
海老と蟹とねんごろの餅花手
 竹井紫乙
いろいろのグラス傾く三日かな
 小野裕三
初夢のこどもがゐない団地の木
 大塚 凱
初夢をところ狭しと亀歩む
 犬星星人
ぼんやりと明るい生きているうさぎ
 榊 陽子
初御空その歳月に吾が溺る
 直井あまね
思ひ出に似る初夢の一場面
 すずきみのる
淑気満つ高座返しの座布団も
 仲田陽子
七福神のひとり省略冬の川
 中嶋憲武
夢流し鳥のことだま野に放つ
 鳥居真里子
人の日のふううつと息のびて消ゆ 上田信治
(1月13日追加)
身をかがむキャットウオーク去年今年 西山ゆりこ
脳内はお彼岸にゐて淑気満つ  上野葉月
坂道の初御空まで伸びてをり  新倉村蛙

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