【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
ジェームス・テイラー「Something in the Way She Moves」
憲武●この時期、割と聴いてしまうアルバムです。ジェームス・テイラーの「James Taylor」というアルバムの中から、「Something in the Way She Moves」。
憲武●アルバム全体から春が彷彿とするんです。聴いてると。なんででしょうね。最初に聴いたのが、大学入りたての頃だったからでしょうか。1968年発表なんですね。この曲、タイトルを見て、「おっ」と思うと思います。
天気●思いました、思いました。
憲武●ジョージ・ハリスンは、この曲にインスパイアされて、かの名曲「Something」を書いたんです。冒頭の歌詞、まんまですよね。で、この曲最後は「I Feel Fine」で終わってるんです。
天気●こっちが先なんですね。
憲武●そうなんです。レコーディングの時期は、ビートルズのホワイトアルバムのレコーディングと同時期で、同じスタジオです。この曲、とにかくギターの音色が美しくて。
天気●マーチンじゃなくギブソンぽい。キラキラ、チラチラしてる。
憲武●それにジェームス・テイラーの声が、よく合ってます。細野晴臣は、はっぴいえんど時代に歌い方を参考にしていたようです。声質が似てますね。
天気●ちょっと似てるかな? これまで思ったことがなかったですが。
憲武●『細野晴臣と彼らの時代』(門間雄介著、2020年、文藝春秋)によれば、「彼(ジェームス・テイラー)の歌を聴きこみ、なにかしらピンと来るものがあった細野は、ほどなく彼の低い音域やヴィブラートをかけない歌いまわしが自分と似ていることに気づいた。試しに真似して歌ってみた。すると、うまく歌うことができた」とあります。
天気●なるほどなるほど。
憲武●アップル・レコード第一号のレコーディング契約を結んだアーティストでしたが、ジェームス・テイラーの薬物中毒による入院で、充分なプロモーションが出来ず、売れ行きはよくなかったとか。輝かしい出発とならなかったところが、好感持てます。
天気●アップル・レコードというイメージ、なかったです。私が知らなかったのと、米国米国した音楽なせいもあるんでしょうね。
憲武●今夜はひさびさにアルバム丸ごと聴いて、寝るとしましょうか。
(最終回まで、あと713夜)
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