2023-07-02

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】Beabadoobee「the perfect pair」

【中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜】
Beabadoobee「the perfect pair」


憲武●外で聞こえてきて気になった曲を、shazamに取っておくんですけど、この曲もそんな曲の一つです。どこでいつ取ったかは忘れました。Beabadoobeeで「the perfect pair」。

 

憲武●この曲はアルバムBeatopia(2022)に収録されています。外で聞こえてきた時は、ギターのフレーズと歌声が印象的だったんだと思います。声ですかね。一番の理由は。ちょっとバネッサ・パラディを思わせるような、ウィスパーボイスですね、ここでは。

天気●ボサノヴァだと、たいていはこういう声とか歌い方になるんですね、自然と。

憲武●そうなんですよね。アストラッド・ジルベルトとか。

天気●そうそう。

憲武●Beabadoobeeというのは、ボーカル本人のことです。バンドではなくソロですね。フィリピン生まれのイギリス人です。バンドは例えて言えば、椎名林檎と東京事変のような関係でしょうか。ギターを弾きながら、ハードな曲も結構やってます。

天気●ライブの動画、ちょっと観てみましたが、しっかり弾いてますね。

憲武●ええ、弾いてます。ギターは17歳の時にYouTubeを見て独習したそうで、そのギターで作った曲「Coffee」が2017年に大ヒットしました。生まれて初めて作った曲なんでしょうか。でも、ヴァイオリンをその前にやってたそうですから、なんかこう曲のデッサンと言いますか、なにか作ってたかもしれませんね。でも案外生まれて初めて作った曲なのかもしれないです。よくいますよね。生まれて初めて書いた小説が文学賞とか、生まれて初めて作った俳句で俳句賞とか。

天気●へんな喩え。

憲武●あっ。歌ってる途中、ワインとか飲んでますが、大人になったなあという印象です。内容も人を嫌う部分は、自分の嫌いな部分という似たもの同士というようなことで、パーフェクトってことなんでしょうね。

天気●似ていない同士で補い合うほうがうまくいくのかも。自分と似ている人と四六時中、顔を合わせて暮らすって、地獄かもですよ。

憲武●どういうプロセスであろうと曲、引いて言えば表現は出来る。それが世に出るか出ないかの差異って、なにかなと思うこの頃です。 


(最終回まで、あと703夜) 

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