2023-10-15

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】森高千里「その後の私」

【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
森高千里「その後の私」


憲武●10月ってぇと、この人を取り上げたくなります。5年前(第598号)もそうでした。5年ぶりです。森高千里「その後の私」。ライブバージョンでどうぞ。

 

憲武●アルバム「非実力派宣言」(1989)に収録されています。作詞は森高千里、作曲は斎藤英夫です。せっかくの歌詞が飛んじゃってますね。歌詞は、著作権ありますのでここでは載せられないですけど、検索すると出てきます。ではちょっとアルバムバージョンの方も聴いてみますか。歌詞は当然ですがバッチリです。

天気●「よしこ」っていうと、どうしても『魔法使いサリー』の「よしこちゃん」を思い浮かべてしまうますが、それがこの曲のストーリーに合ってるっていえば、合ってる。

憲武●森高千里って、アニメキャラみたいなとこ、ありますよね。僕的には手塚治虫のキャラなんですが。歌詞が飛んでしまっても、ユーロビートのリズムと「ホッホッーウ」で乗り切ってしまえてるように見えます。キレキレです。バブルです。

天気●1989年当時、ドラムとベース、シンセサイザーのリフ、ああ、ユーロビートって、こんなだったなあ、と。

憲武●はい、今は昔です。ビートルズに造詣の深い森高千里ですから、「私がオバさんになっても」という歌の歌詞は、「When I'm Sixtyfour」からインスパイアされたんじゃないかと思ってます。同様にこの「その後の私」の詞は、失恋の話を友人のよし子に話すという設定なので、やはりビートルズ的な作り方だと思うんですよね。

天気●いわゆる女たらしに捨てられたけど、後悔してないという、ジェンダー的にも懐かしい感じです。女友だちに向かって語るという点がちょっと新しっぽくはあっても。

憲武●このアルバムの発表当時は、そんなこと考えもしませんでしたけどね。「17才」のアレンジを聴いた時、ユーロビートが似つかわしくないと思いました。森高千里の声とも、あまり合ってない印象もありましたね。もう一つ収録されている「17才」のカーネーションバージョンの方が、むしろ森高千里っぽいでしょうか。

天気●ユーロビート・バージョンは YouTube ですぐに見つかりましたが、もうひとつは見つけられませんでした。興味のある方はCD買ってね、ということですね。中古で500円くらいみたいです。

憲武●それがですね、「森高千里 17才 カーネーションバージョン」で検索すると出てくるんです。「非実力派宣言」はその颯爽としたジャケットデザインとともに、森高千里のイメージを決定づけた記念すべきアルバムですし、時々引っ張り出して聴いてしまう中毒性のあるアルバムです。

(最終回まで、あと689夜)

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