2024-02-11

後記+プロフィール877 上田信治

後記 ◆ 上田信治

 
先週は立春でした(今日は建国記念の日)。毎年「暦の上ではもう春です」と言っているいっぽうで、ひどく寒いですよね。
 
「暦のほうがまちがってるんじゃないか」
「直せよ」

しかし、じつは、立春は寒くて当たり前という話があります。
 
「輸入品の二十四節気とはずれがある」は間違ひだ! 
島田牙城
 
前半は2012年当時の「日本気象協会による二十四節季の見直し」というトピックを扱っておられますが、本題は後半。

中国で成立した二十四節季は、 寒さのピークに春を迎え、暑さのピークに秋を迎えるようにできている。東洋の暦において、立春は寒くて当たり前、立秋は暑くて当たり前であるという、たいへん説得力のある立論です。
 
堀切克洋さんの「二月四日」は、まさにそのころの季節感をベースにした10句。

枯れきらぬ芭蕉を枯らす春の雨 堀切克洋
 
は、 そうとは言わず立春後の冷雨のイメージではないでしょうか。



それではまた来週、お会いしましょう。


no.877/2024-2-11 profile

堀切克洋 ほりきり・かつひろ
1983年生まれ。「銀漢」同人。句集『尺蠖の道』。編著に『神保町に銀漢亭があったころ』、共著に『俳句がよくわかる文法講座』。セクト・ポクリット管理人。
https://sectpoclit.com/
 
小笠原鳥類 おがさわら・ちょうるい
1977年生まれ。現代詩文庫『小笠原鳥類詩集』(2016)、『鳥類学フィールド・ノート』(2018)など。『新撰21』(2009)に佐藤文香小論。ブログ「×小笠原鳥類」 http://tomo-dati.jugem.jp/ noteは https://note.com/ogasawarachorui
 
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
1960年生まれ。「炎環」「豆の木」2013年週俳eブックス「日曜のサンデー」2018年 第四回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。2019年 第0句集「祝日たちのために(港の人)」山岸由佳とのコラボレーションによるwebサイト「とれもろ」
 
■村田 篠 むらた・しの
1958年、兵庫県生まれ。2002年、俳句を始める。現在「月天」「塵風」同人、「百句会」会員。共著『子規に学ぶ俳句365日』(2011)。「Belle Epoque」
 
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。句集『リボン』(2017)エッセイ『成分表』(2022)。
 

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