2024-03-31

田中裕明【空へゆく階段】№87「後記」第305号

【空へゆく階段】№87
「後記」第305号

「青」第305号(1980年2月)より転載

田中裕明

また今年の正月も吉野に青蛙さんを訪ねて俳句を作ってきた。あいにくの暖冬で雪はなかったが、初日よりあきらさんの専立寺を訪ね、俳句について色々とうかがうことができ、充実した年の始めになった。あきらさん曰く、俳句がうまくなるには大正期の作家、たとえば普羅・石鼎を読まなければならない、と。二日目はあきらさんとともに、前登志夫氏を訪問しお話をうかがった。前さんのお宅は吉野も山の奥で、折からの雨にすっかり靄がかかってきた。その靄の中で炬燵を囲んでのお話は得るところがあったが、お話のおわり頃には僕は酔っぱらって、失礼をしてしまった。誌上を借りてお詫び申し上げる。

結局、俳句は思ったほどできなかったが、恒例となっているこの吉野行で、前さんやあきらさんのお話をうかがえて大層有益であった。青蛙さんのお家でも大変お世話になった。ありがとうございました。

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