【空へゆく階段】№88
「後記」第306号
「青」第306号(1980年3月)より転載
田中裕明
二月はじめは吉田神社の節分祭で吉田山のあたりは賑やかになるのだが、大学のほうは後期試験がはじまって学生は沢山出てきているのに静かな空気である。その試験の為に今月号は編集にタッチできず、後記を書くのも申し訳ない気分。
三木清の『如何に読書すべきか』の中で発見的という言葉が見られる。発見的に読まねばならぬという。「先ず大切なことは読書の習慣を作ることである」という文ではじまるこの読書法は、発見的読書を説くのであるが、発見的読書というのは自分自身に問題を持って読むことである。考えながらの読書、著者との対話といってよい。読書は思索のためのものでなければならず、むしろ読書そのものに思索が結び附かなければならない。
発見的という言葉は良い言葉だ。
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