【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
リーガルリリー「東京」
天気●とってもいいスリーピースバンドを、YouTubeで見つけました。リーガルリリーという、いわゆるガールズバンドです。「東京」という曲を、2023年7月のライブで。
天気●ドラム、ベース、ギター、どれもよくて、スリーピースという構成への思い入れは別になんですが、ロックの気持ちよさの原点かもしれないですね。十代の頃、グランド・ファンク・レイルロードとかレッド・ツェッペリンとかマウンテンとか、いっぱいあった。そこから半世紀ほど経って、この編成もいろいろとヴァリエーションが出たのでしょうけれど、なんか、シンプルに愉しい。
憲武●わが邦の女性によるスリーピースバンドというと、チャット・モンチー、SHISHAMOなどをまず思い浮かべますが、それらとはまた違って、いい感じです。
天気●まず、ドラムの音が好み。タイト過ぎず、バシャバシャ過ぎず。
憲武●このバンド、初めて聴きましたが出だしから「おっ」と思いました。
天気●ベースはよくうねりますね。ロックです。
憲武●ベースの音も好みです。ときおりペラッとスラップ奏法を挟むところとか。
天気●ギターは、ヴィンテージっぽいテレキャスターで、カリッと刻む部分とエフェクターを効かしてギャンギャン弾く部分のメリハリがいいです。
憲武●はい。いいです。オリジナルのPVも観てみましたが、こちらのギターもよかったです。迫力はやはり野音の方が上でしょうか。
天気●ロックっぽい音に乗るヴォーカルが、あまりロックっぽくなくて、そのアンバランスが、妙に面白い。
憲武●のほほんとした感じが、なんかこう、90年代っぽさを感じます。
天気●歌詞は、なかなか「東京」性に収斂しなくて、つまり、よくわからなくて、そこもいい。つまらなくわかりやすいよりは、ずっといい。
憲武●「ナイジェリア」とか「ホタルイカの素干し」とか、確かに東京性はないです。
天気●年齢的には孫の世代で、音楽も「孫」なのかもしれない。70年代のロックを聴いて育った世代があって、その音楽を聴いて育った孫世代の孫音楽。それでも、ロックのロックぽさ、ロックの快感は変わらずにあるから、面白いです。人間は十年やそこら、いや、百年や千年でも変わらないんだと思います。
(最終回まで、あと654夜)
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