後記 ◆ 上田信治
日本の料理がほとんどすべて醤油味であるように。漫画のほとんどすべてのテクニックがコマとせりふを順番に読んでいくルールから生まれるように。
たぶん、この世で人のなす何もかもが、ほんとうに少ない変数をコントロールすることによって、色とりどりのそれを生み出し続けているのは、驚くべきことだと思う。
いま『霧尾ファンクラブ』という漫画が気に入っていて、二人の高校生が、同級生の霧尾くんが好きだ好きだと影で言い続けるという、ただそれだけをフォーマットとする話なのだけれど、この作品が、じつは「人間を描く」という古典的な主題に対して、ほんとうに高い志をもって描かれているということが、だんだん明らかになってきて、そのほとんどが「伏線」という、これも古典的なテクニックによって表現されているんですね。
狭さから広さへ、低さから高さへ、というのが、自分にとって泣き所なんだなあと思います。
いわんや俳句においておや。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
no.908/2024-9-15 profile
■谷村行海 たにむら・ゆきみ
1995年岩手県生まれ、神奈川県在住。「街」「むじな」所属。短歌同人誌「はなぞの」編集・発行人。2019年、「ユイカ」で第五回詩歌トライアスロン次点。
■中矢 温 なかや・のどか
1999年愛媛県松山市生れ。「楽園」同人、現代俳句協会所属。
■中嶋憲武 なかじま・のりたけ
https://toremoro.sakura.ne.jp
■西原天気 さいばら・てんき
■上田信治 うえだ・しんじ
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。句集『リボン』(2017)エッセイ『成分表』(2022)。
1961年生れ。共著『超新撰21』(2010)『虚子に学ぶ俳句365日』(2011)共編『俳コレ』(2012)ほか。句集『リボン』(2017)エッセイ『成分表』(2022)。
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