2024-10-27

西原天気【句集を読む】余計なもの 瀬戸正洋『似非老人と珈琲 薄志弱行』とゆるく付き合う・その5

【句集を読む】
余計なもの
瀬戸正洋似非老人と珈琲 薄志弱行』とゆるく付き合う・その5

西原天気


ようやく、ほんとうにようやく、暑くない日が増えてきました。それはつまり、冷奴から湯豆腐へ。豆腐の更衣です。


冷奴余計なものがうへにたつぷり  瀬戸正洋

私などは、冷奴に載せる薬味が愉しくて、生姜やらかつぶしやらすり胡麻やら茗荷やら葱やら、果てはいわゆる食べるラー油やら、いろんなものをたっぷり載せて食しているので、この句を読むと、自分の欲深さ・低俗さが恥ずかしくなります。

余計なものを載せずに、あるいは載せても最小限に。そういう人間になりたいと、思ったことでした。

(つづく)

瀬戸正洋『似非老人と珈琲 薄志弱行』2024年3月/新潮社



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