2025-04-27

超文学宣言 ハプスブルク家の春 連作作品

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ハプスブルク家の春  超文学宣言

(これは前書ではない)ひかれた線がみえたとき、ぼくはそこが砂場であることに気づかなかった。足でこするうちに、消えてしまい、そこではじめて砂場であったことに気づいた。が、実のところそこは砂場でさえなかった。それは白い砂の敷き詰められた、丘への長い道で、丘の上にはシェーンブルン宮殿とウィーン盆地を望む眺望台があった。盆地とは起伏に突如あらわれた面のことをいう。面はその内部においても動いていた。凪に思えた寒林には突風の吹く場所があった。Windig,windig...


ふるえるか。書けば春夜の水面あり

劇のまなかをしろい灯火ら萌えてゆく

ステンドグラスを割りうみを漏らすな

ゆるやかに回転しつつ庭が咲く

チューリップ持ち雑踏のトラムぬけ

遠くよばれて離宮の門が灼ける

うつむけばペルソナに木の洞うかぶ

宙に吊るひとつの逆説の運河(だ)

エジプトがくらがりを来てさえずっている

回転扉よりおもむろに日浴びする

臉をうつ硬水育ちらしく風

炉の影が雫の中をたぶらかす

Grüß Gott, Grüß Gottひたき堕ち

高木の口語に風の拍がする

みず巡る接吻もみずあさくあり

合図なくたおれて鹿は孕んでいた

玉ねぎ焦がしてきっととりのゆめだ

天球を腹に匿い泳ぎだす

ふらん、せ、得、ずに野を遊ぶ有神論

造形を馬二匹駆け微風あり

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