【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
The Brass Ring「The now Sound」
憲武●イージーリスニングを聴いてみたいと思います。The Brass Ring「The now Sound」(1967)。
憲武●ある年代の方にとっては非常に懐かしい曲ではないでしょうか。TBSラジオの深夜放送「パック・イン・ミュージック」でオープニングに使われていました。午前1時の時報のあと鳴っていましたね。
天気●そうと知らなくても、憶えてなくても、確実に聞き覚えのある曲です。
憲武●ブラスリングというバンドはフィル・ボドナーによって結成されたバンドで、ハーブ・アルパートのティファナ・ブラスをモデルとしていたようです。
天気●調べてみると、アルバムデビューが1966年。ティファナ・ブラスのデビューは1962年でそれほど変わらないけど、すでに成功していたから、先行バンド/先行音楽として、アタマにあったんでしょうね。
憲武●「蜜の味」という大ヒットもありましたしね。フィル・ボドナーはニューヨークのジャズ・クラリネット奏者で、1940年代から50年代にかけてスタジオミュージシャンとしても活躍していました。ジャズ・クラリネットのほかにフルート、オーボエ、サックス、イングリッシュ・ホルンなども演奏していたようです。そしてヴァン・マッコイの「ハッスル」でピッコロを担当していた人としても有名です。
天気●ああ、そうなんですね。誰もが耳にした曲・知っているフレーズ。
憲武●この「The now Sound」はブラスとキーボードが目立って聞こえてきますが、全体的に余裕のあるゴージャスさです。ブラスとキーボードの掛け合いの感じがお洒落な雰囲気を出しています。
天気●キーボードの音は、ハモンド・オルガンとはひと味違った、いい意味で安っぽいコンボオルガンの音。イージーリスニングはこうでなくっちゃ、という感じです。
憲武●このオルガンの音色がいいんですね。きっとこのバンド、60年代後半は人気でしたんでしょうね。「The Disadvantages Of You」という曲はオールナイトニッポンでCMのあとなどのつなぎの曲として使われてました。
天気●ラジオにとってイージーリスニングは欠かせない存在だった気がします。ポール・モーリア、レイモン・ルフェーブルンなど、欧州のイージーリスニングがやたら流れていたような。
憲武●現在ではこういうイージーリスニングと呼ばれる音楽は、テレビラジオ、店内のBGMなどであまり聞かなくなったと思います。イージーリスニングはなんといってもわかりやすく、くつろげる魅力がありますね。ブームがまた来そうな感じもするのですが。
(最終回まで、あと615夜)
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