〔ビール俳句〕
猛禽
★八ヶ岳ビールTOUCHDOWN/ROCK SMOKE HELLES/Smoke Helles/アルコール度数5%
岸田祐子
二十歳は猛禽麦酒ごくりと一杯目 塩見恵介
この句はちょっと難しい。一つ一つの言葉はわかるのだけど、繋がりが難しいと感じる。まず、「ビールごくりと一杯目」は、わかる。最初にビールをごくりと飲んだということだ。次に、「二十歳」も、わかる。お酒が飲めるようになる年齢。それから、「猛禽」も、わかる。鷹とか鷲とか梟みたいな鳥のこと。難しいのは二十歳と猛禽が「は」で繋がっていることだ。この「は」は猛禽のような二十歳でいいのだろうか。だとすれば、性別に関わらず、筋肉質で特にインナーマッスルが強い。瞳は黄色でまなざしが鋭い。状況分析が的確で判断が早い。というのが、私の中の猛禽的二十歳。
こんな二十歳がビールをごくりと飲んだとしたら、かっこいいことこの上ない。今、私の脳内ではウィザードリーみたいなRPGの主人公がいる。職業、戦士の猛禽二十歳が仲間とモンスターを倒して、ギルガメッシュの酒場でビールをごくりとやっている。隣には同じパーティーの魔法使いや僧侶、忍者などがいて、みんなで今日の戦いについて振り返っている。「あのタイミングでマハリト(火の攻撃の呪文)が効かないのやばかったよな」とか言い合っているのをこっそり聞いてみたい。
そんな場面にふさわしいビールと言ったら、煙の香りが心地よい ROCK SMOKE HELLES だろう。へレスとはドイツのミュンヘン発祥のラガービール。1890年代に人気が出始めていたチェコのピルスナーに対抗して作られたと言われている。軽くてするするいける飲み口とモルトの優しい甘味が特徴。スモークへレスは燻製した麦芽を使っているので鼻から抜ける香りが煙く、そこはかとない焚火感。かつて、人類が狩りをして焚火を囲んだように、猛禽二十歳が率いるパーティもモンスターを倒した後は、心地よい煙に浸りたい。
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