【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
バリー・ホワイト「Can't Get Enough Of Your Love」
天気●先週の「低音の魅力」、今週も引き続き、これまたソウルミュージックで、バリー・ホワイト「Can't Get Enough Of Your Love」です。
天気●この人、歌いだす前に、低音でなんかしゃべるパターンが多くて、それはもうバリー・ホワイトのお得意、専売特許。歌になると、そうそう低い声は無理なので、ここぞとばかり低く低くささやく。この手のセクシーが売りなんでしょうね。
憲武●JWAVEが開局したばかりの頃、夜中にバリー・ホワイトの曲をよく掛けてまして、1時頃仕事しててウトウトしかけると、バリー・ホワイトの声でハッと目覚める時期がありました。あれはキャロル久末の番組だったか、ルーシー・ケントの番組でしたか。
天気●ルックスは、地方都市で何期も市長を務めてる感。なぜかギャングとか企業トップの感じはしない。あ、中古ディーラーとかキャバレー経営者の風格はありますね。
憲武●はい、その風格関係ですね。僕的には、つのだひろに似てなくもないかなと。
天気●似てますね。声質も近い気がする。髪型によっては、日本のおばさんぽくもあって、私は、あ、ゆりやんレトリィバァ! とも思いました。
憲武●ジェームス・ブラウンもまたその系統の人ですね。日本のおばさんぽい系統。
天気●そうです。大阪にいそう。で、このストリングスのきらびやかなアレンジは、もろフィラデルフィア(フィリー)ソウル。バリー・ホワイト自体はそのジャンルではなく、「強く影響を受けた」ということらしい。でも、聴いているぶんには、フィリーソウルのサウンドに、バリー・ホワイトの歌声を乗せたという感じです。
憲武●ドラムがですね、その叩かれ方がテクノっぽいと思います。ラストのところチッチキチッチキチッチキ…とフェードアウトしていきますが、これはYMOの「テクノポリス」ではないですか。
天気●ハイハットの部分ですかね。YMOはあまり聴いたことがないので、わかりませんが、いちおう伝聞ではYMO=アンチ・グルーヴなので、ソウル/リズム・アンド・ブルースのドラミングの文法をなぞって、ちょっとパロディ化みたいな感じかもしれません。このへんは微妙で難しい。高橋幸宏はタイトなドラムを叩ける人なので、クールなドラミングというところで共通するかも。でも、結局、わかりません。
憲武●はい、そこは共通するかもしれません。もしかして、この曲を聴いて取り入れたのかもとか思ってます。
天気●日本だと、彼が作った「ラブ・アンリミテッド・オーケストラ」のほうが有名かもしれません。「Love's Theme」はだいたいの人が耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。こちらの音も素晴らしく好みのど真ん中。
憲武●この曲はシングルでヘビロテしてました。実は近々こちらで取り上げようと画策してたんです。
天気●「ラブ・アンリミテッド・オーケストラ」は今からするとすごいメンバーです。在籍したことのあるギタリストだけ挙げても、レイ・パーカー・ジュニア、リー・リトナー、ワウ・ワウ・ワトソン、デイヴィド・T・ウォーカー等等。
憲武●はいはい。ケニー・Gもいたんですね。
天気●やっぱり、どこかの市長じゃなくて、人材戦略に長けた社長キャラなのかもしれません。バリー・ホワイトは。
(最終回まで、あと592夜)
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