【句集を読む】
太陽系の機序
原田もと子『書きかけの葉書』の一句
西原天気
蝌蚪二百五百一億日はひとつ 原田もと子
太陽はたしかに《ひとつ》。これが座五に置かれることで、太陽が地球上のすべての事象を統べることをあらためて確認される。同時に、水面に日の当たるさまも想起させて、気持ちがいい。
数を効果的に用いて座五を「一」で締めるという点では、有名句《牡丹百二百三百門一つ 阿波野青畝》がある。この句がいわゆる写生的で端正なのに対して、掲句は、見て描くことから一歩外れる。200の次が500という数列(?)はちょっと不思議だし、次に1億へと飛躍するところがいい(誇張・嵩増しの度合いがすごい)。算数のわからない読者(私)には、3つの数字の規則が見いだせず、それゆえ、青畝の有名句とはまた違った興趣。
同句集から、印象に残った句を気ままに。
家よりも大きく描くチューリップ 原田もと子(以下同)
太宰忌のグラスの底に濡れる卓
磨崖仏腰より下を霧の中
調理師のたばこ休みを花の下
梅雨冷の消したテレビに映る部屋
寒空を温めている鳩の声
原田もと子句集『書きかけの葉書』2025年12月/大風呂敷出版局
1 comments:
>家よりも大きく描くチューリップ 原田もと子
同様の句があるようです
吾子の絵の家より大きチューリップ 佐藤半三
セクト・ポクリット:
https://sectpoclit.com/tulip/
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