【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
松任谷由実「ルージュの伝言」
憲武●前々回は西城秀樹の「薔薇の鎖」というロカビリーな曲でしたので、今回もロカビリーな選曲ということで、松任谷由実で「ルージュの伝言」。
憲武●この曲は3枚目のアルバム『コバルト・アワー』(1975)に収録されてます。作詞作曲は荒井由実です。この時は荒井由実を名乗っていました。こっちの名前の方が僕的にはしっくりします。この曲をラジオで何度か聴いて、当時住んでいた春日部の名曲堂というレコード屋で、シングル買いました。シングルヴァージョンはこちらです。
天気●名曲堂。いい名前。
憲武●たぶんラジオで聴いた時に思ったのは、ピアノの伴奏とコーラスの楽しさだったと思います。コーラスは重要な要素を成してると思いますね。動画のコーラスはチャープスですし、オリジナル盤のコーラスは、大貫妙子、吉田美奈子、伊集加代子、山下達郎です。オリジナル盤の終盤の山下達郎のコーラスが秀逸です。
天気●伊集加代子って、当時のいわゆるニュー・ミュージックのクレジットでやたら見ました。ソロ名義のものがあるのかどうか知りませんが。
憲武●シンガーズ・スリーとしてのアルバムならありますね。さて、この動画では、かまやつひろしが不審者っぽく闖入して来るんですが、このコーラスもまた、なんかこう、泣かせるものがあります。かまやつひろしも山下達郎も、彼らが青少年期に吸収したであろう音楽、ビーチボーイズ、ポール・アンカ、ニール・セダカなどを感じさせるからなんですね。
天気●往年のアメリカン・ポップスをもろ狙った作りですね。
憲武●そうですね。この曲だけ、他の曲とは毛色が変わってると思います。それで荒井由実をもっと聴いてみたいとなったかというと、そうではなかったです。シングル盤だけで満足したのか、他の曲がピンと来なかったのか、アルバムを買おうとはならなかったですね。
天気●私は1枚目と2枚目のアルバムは買いました。荒井由実名義。それ以降はさっぱり。この「ルージュの伝言」はリリース時にラジオとかで聴きましたが、曲調の狙いが見えすぎるのと、曲の設定、「あのひとのママ」とか、歌詞が気持ち悪い。この人にまったく興味がなくなるきっかけになりました。1枚目とかの音は好きだったんですけどね。
憲武●僕も『ミスリム』はアルバム持ってます。わりと聴き出したのは大学入ってからです。と言ってもアルバムは買わずに貸しレコードを録音したりしてですね。友だちもわりと聴いてて、特に女子学生がすぐにこう、ユーミンてさあ、とか喋ったりするんで聴いておこうと思ったんだと思います。
天気●当時の学生の話題にはなってたんでしょうね。
憲武●はい。「ポパイ」という雑誌とユーミンは二大潮流でしたね。メジャーになればなるほど毀誉褒貶に晒されるわけで、この人もまた例外ではなく、ある政治家と親しくしていた関係もあって、一時期まったく聴かない時もあったわけですが、そうですねえ、当人とはなんの関係もない人たちの感情如何によって左右される存在って、大変ですね。
(最終回まで、あと569夜)
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