【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツ「The Love I Lost」
天気●定期的にこういうのを聴かないと、からだに変調をきたすという体質なので、聴きますね。ハロルド・メルヴィンとザ・ブルー・ノーツ「The Love I Lost」(1973)です。
天気●YouTubeで検索すると、TV番組(って書いたほうが親切なんですよね、若い人には)「ソウル・トレイン」とか、動いてる動画も多いけど、例によって短く切れてしまう。アルバムのフル・ヴァージョンももちろん聴けるんですが、それだとジャケットの静止画なので、この音はスタジオ録音、絵をいろんなとこから採ってきたのを選びました。音と動きが微妙にずれているところが、なんだか思い出っぽくて、意外に切なく泣けます。
憲武●音と動きがずれているところもいいんですが、色調もまたいいですね。35ミリフィルムの味わいです。
天気●このグループ、フィラデルフィアの、いわゆるフィリー・ソウル。キャリアは60年代からと古いのですが、人気が出たのは、のちにソロ歌手としても活躍するテディ・ペンダーグラスが加入した1970年からです。この曲も、シャウトがふんだんなリード・ヴォーカルを聴かせているのはテディ・ペンダーグラスです。
憲武●この歌声は聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。わが邦では「Do Me」が大ヒットしましたね。私は80年代初頭のソロアルバムをよく聴きました。
天気●ソウルによくある失恋ソング。エレキピアノから始まって、ギターのシンプルな単音メロディが重なる。ヴィブラフォンが入って、そこからやっとドラムとベース。そこにオルガンの和音がぎゃおーんと入る。イントロにたっぷり時間をとってるとこも好みです。
憲武●はい。冒頭のエレキピアノの音、泣けますね。一体いつ始まるんだって感じのイントロがワクワクしたもんです。
天気●サビが先に来る構成もうれしい。Aメロでせつせつと失恋を歌いあげて、またサビに。失恋ソウルは、こうでなくっちゃ、という王道パターンです。
憲武●踊れる失恋ソングって、いいですね。
天気●ああ、身も心もすっきりしました。
(最終回まで、あと562夜)
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