【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「ブルー・シャトウ」
憲武●勤務地が八王子なんですが、ジャッキー吉川が八王子出身と知って、それ以来親近感を持ってます。ジャッキー吉川とブルー・コメッツ「ブルー・シャトウ」。
憲武●かなり有名な曲ですので、知っている方も多いと思われます。作詞は橋本淳、作曲井上忠夫、これは旧芸名でのちの故井上大輔ですね。作詞の橋本淳は先月の21日に亡くなってます。ブルー・コメッツのデビュー以来ずっと、関わってきてました。「雨の赤坂」という曲も気に入ってます。
天気●井上忠夫/井上大輔は、フルートを手にもっぱら歌をうたう人というイメージでしたが、作曲家としての仕事が大きいのですね。リストになっているのを見て、あらためて知りました。
憲武●アニメ主題歌も結構手がけてます。1979年に出た「ダンシング・シャドウズ」というソロアルバムもいいです。
天気●幅広いですね、作曲家・音楽家として。
憲武●はい。この曲が流行った当時、わが邦はGSブームで、この曲の大ヒットによって他のGSの曲が歌謡曲化の傾向を深めていったと思ってましたが、Wikipediaによると、井上忠夫は「外国のリズムと日本のメロディの新しい組合せを考えた」と言っていたそうです。何か新しいことをやろうとしていたんですね。
天気●そのへんのチャレンジのことはよくわかりませんが、エイトビートに歌謡曲の伝統的なメロディが乗るのが、当時のグループサウンズで大きな部分を占めていた印象があります。
憲武●そうですね。そこがヒットの要因だったと思いますし、またつまらないところでもあったと思えます。またこの歌は替え歌も有名ですね。歌詞の単語の語尾に「とんかつ」とか「ニンニク」を付けるといったものですが、地方によって細部が変わっていたりしたんでしょうか。
天気●「森トンカツ、泉にニンニク、かーコンニャク、まれ天麩羅♪」ね。それがこの曲の大部分を占めてますよ、私などは。それなしには聴けない。
憲武●それ、僕もかなり刷り込まれちゃってます。ブルー・コメッツといえばビートルズ来日の折に前座として武道館のステージに立っていますが、その時のことをポール・マッカートニーが「ビートルズアンソロジー(リットーミュージック 2000)の中でこう語ってます。「僕らの前座におもしろい日本のグループが出ていた。この当時は、日本人はまだロックン・ロールってものをよくわかってなかった。今じゃすっかり理解してるけどね。そのグループは"ハロー・ビートルズ!ウェルカム・ビートルズ!"とかいう歌を歌ってたーーロックン・ロール的にはかなりダサいけど、すごく嬉しいことではあるよね。僕らのステージもすごくうまくいった」。ポール・マッカートニーに「おもしろい」って言われるなんて、スゴイですね。
天気●「ロックン・ロール的にはかなりダサい」という部分が、歌謡曲成分なんだろうと思います。
憲武●そのビートルズの出演したこともあるエド・サリヴァン・ショーに、ブルー・コメッツも出演して、「ブルー・シャトウ」を歌っています。
天気●おお! 英語歌詞だ! 琴から入るところは、日本人レスラーが米国で活動するとき、歌舞伎メイクする感じですね。
憲武●超受けるんですけど。橋本淳の訃報によって、この曲を思い出したってこともありました。ご冥福をお祈りします。
(最終回まで、あと561夜)
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