【中嶋憲武×西原天気の音楽千夜一夜】
ゾー・アンバ「デッドエンド・ストリート」
天気●これまでいろいろ音楽を聴いてきて、世の中には、ほんと、いろんなのがあるなあ、と、あたりまえすぎる感想を言ってしいますが、ポップ・ミュージックはそれぞれ「売れたがっている」「ウケたがっている」。いわゆる売れ線を狙う結果、ジャンルはいろいろ、セールスポイントもいろいろではあっても、なんだか似たように、そこそこの完成度、そこそこ気持ちよくさせる音楽がいっぱいある。これは悪い意味ばかりではなくて、聴き手への媚び、サービス精神がポップ・ミュージックの魅力のひとつでもあるわけです。という気分のときに、この歌が、「なんかいいなあ」と。長い前口上のわりに、「なんかいいなあ」もないもんだとは思うのですが、ゾー・アンバ「Dead End Street」という曲です。
天気●カーラジオでこれが鳴ったとき、パンク味のある歌だなあ、と。でも、当時のパンクじゃない。節まわしのところどころで、奄美とか沖縄を感じたりで不思議でした。
憲武●夏っぽいですよね。歌だけ聴いてると、パンクだと思います。節まわしのちょっとした間が、南国っぽいんじゃないかと思ったりもします。
天気●調べてみると、テネシー州出身で、フリージャズのサックス奏者として実績がある人。サックスも聴いていたい方は、「Zoh Amba sax」とかYouTube検索すれば、いろいろ出てきます。バリバリのフリージャズです。それが、ギターを持って、歌い始めた、ということらしい。
憲武●フリージャズから出発してる人なんですね。歌い方が、もっともちゃんと歌えば歌える人だと思いますが、否定とか解体の精神が根底にあるんじゃないかと思える歌い方ですよね。
天気●他にない感じ、というのは、やはりいいです。まったくないといえなくても、他にいっぱいある、というより断然いい。俳句も同じでしょ? ま、それは置いといて、ユニークはだいじです。
憲武●唯一無二とか独自性ですね。一回壊してみてから始まるような。
天気●歌いっぷりも面構えも、ふっきれたところがあって、すとんと聴き手に届く感じ。音は凝ってないけど、ぶっきらぼうな音も、いいものです。
憲武●総体の印象に繋がるバランスは大事です。
天気●曲は、袋小路の閉塞感みたいなことを歌っているのか、歌詞自体はシンプルです。
憲武●シンプルさって、心に残りやすい感じします。
天気●メインストリームをめざすのではなくて、そんなもん、どうでもいい、というスタンスは気持ちがいいものです。
(最終回まで、あと558夜)
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