2026-10-25

まつりぺきん〔榊陽子の川柳を100句掲げるまでやめないリレー〕悔しいくらいに

〔榊陽子の川柳を100句掲げるまでやめないリレー〕
悔しいくらいに

まつりぺきん


022
東西に出てくると可能なんですか  榊陽子


席題「ぼんやり」。席題なので即吟です。

「東西に出てくると」と条件は示しています。
ところが、何が東西に出てくるのか、その結果として何が可能になるのか、一切書かれていません。
条件文の骨組みだけがあり、肝心の中身が抜け落ちています。

最後の「可能なんですか」は、答えを求める丁寧な問いかけです。
しかし、こちらに対する問いかけなのか、自己完結して独り言ちているのかもわかりません。

さらに、形式的には中八ですが、「可能/なんですか」という一続きの問いが、音数上の切れ目で割れています。
意味の足場も定型の足場も、わずかにずれているのです。

東西、条件、可能、質問という論理的な道具を並べながら、その中身と宛先だけをぼかしてみせます。
ぼんやりしているのに、ぼんやりの作り方だけはひどく鮮明です。

即吟で、題の中心をこれほど鮮やかに外しながら、題そのものへ着地してしまう――その反射神経。
確かにこれ以上の「ぼんやり」はないよな…と、膝をつくよりほかありませんでした。。。

他にもこの句会では、下記のような句が抜けていました。
どの句も、悔しいくらいに、ザ・榊陽子調ですね(笑)

023
法律を持ち出す大好きな森で  榊陽子
同 雑詠

024
眼孔にワイキキビーチ作ろうね  榊陽子
同 雑詠

025
サランラップを基調とした叔父貴  榊陽子
同 題「サランラップ」

026
そら耳はスポーツなんですよ 歩け  榊陽子
同 席題「そら耳」


0 comments: