〔榊陽子の川柳を100句掲げるまでやめないリレー〕
悔しいくらいに
まつりぺきん
022
東西に出てくると可能なんですか 榊陽子
席題「ぼんやり」。席題なので即吟です。
「東西に出てくると」と条件は示しています。
ところが、何が東西に出てくるのか、その結果として何が可能になるのか、一切書かれていません。
条件文の骨組みだけがあり、肝心の中身が抜け落ちています。
最後の「可能なんですか」は、答えを求める丁寧な問いかけです。
しかし、こちらに対する問いかけなのか、自己完結して独り言ちているのかもわかりません。
さらに、形式的には中八ですが、「可能/なんですか」という一続きの問いが、音数上の切れ目で割れています。
意味の足場も定型の足場も、わずかにずれているのです。
東西、条件、可能、質問という論理的な道具を並べながら、その中身と宛先だけをぼかしてみせます。
ぼんやりしているのに、ぼんやりの作り方だけはひどく鮮明です。
即吟で、題の中心をこれほど鮮やかに外しながら、題そのものへ着地してしまう――その反射神経。
確かにこれ以上の「ぼんやり」はないよな…と、膝をつくよりほかありませんでした。。。
他にもこの句会では、下記のような句が抜けていました。
どの句も、悔しいくらいに、ザ・榊陽子調ですね(笑)
023
法律を持ち出す大好きな森で 榊陽子
同 雑詠
024
眼孔にワイキキビーチ作ろうね 榊陽子
同 雑詠
025
サランラップを基調とした叔父貴 榊陽子
同 題「サランラップ」
026
そら耳はスポーツなんですよ 歩け 榊陽子
同 席題「そら耳」
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