〔榊陽子の川柳を100句掲げるまでやめないリレー〕
絶望
桜庭紀子
011
ハムサンドいつか飛べても絶望するな 榊陽子
『川柳未訳』創刊号 「無題」12句より
「飛ぶ」ことには希望がくっついているような気がしていたが、この句はそんな先入観をとっぱらってしまう。飛ぶことによって俯瞰で見えた世界に絶望することもあるのだろう。
「ハムサンド」は季語的に使われているのか実際ハムサンドが飛ぶことを想定しているのかわからないが、ハムサンドはなぜか飛べそうな気がする。ハムのピンク色がポップで軽やかに見えるからだろうか。
いつか飛べるかもしれない、そのポテンシャルを持っているハムサンドに対して、見下ろす地上に醜いものがたくさんあっても絶望するな、うつくしいものもまだまだあるよ、という激励の句として読んだ。あかるい句だと思う。
012
身悶えてほしい?ぶなしめじに? 榊陽子
『川柳未訳』創刊号 「安住」20句より(以下同)
013
火がついたときがみんなの前髪よ 榊陽子
014
忘れたり忘れなかったりするガーゼ 榊陽子
015
百年後口が裂けたら言ってもいいよ 榊陽子
016
あら、この世から鳥肌がなくなった 榊陽子
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