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2011-02-20

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(冬)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ (冬)  

ハイクマシーン(佐藤香・上田信治)

◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(冬)』(河出文庫)より引用。◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている。◯※印は、引用者のコメント。



大晦日はじまりですみません。



時候
【大晦日】

〈(…)行く年を惜しみ、来る年を喜ぶこころで、一年の節目にあたるときである。新年の用意をする人、金銭の決済に苦しむ人、帰省する人、遊楽にゆく人、のんびりと漫歩する人、さまざまの人生絵巻がくりひろげられる〉
※人生絵巻とまで言えるのは金銭の決済だけ。


天文
【冬旱】
「冬、晴天がつづいて雨がなく、からからにかわききってしまうこと。(…)太平洋側の表日本では、一年で一番雨のないときで、人々は濁水に困りきってしまう

〈晴れはよいことだが、雨が降らないと、乾燥して、喉をいためてしまう(…)〉
※つらいことがあったらしい。


【雪晴】
「雪の揚句の裸坊の洗濯」ということばがあるような天気で、雲一つない青天が広がる〉
※そんな言葉知らなかった……。



地理
【氷海】
「(…)流氷は動いているが、あしかあざらしがのぼってねていたり、おっとせいが氷の間から首を出したりする」
氷海や船客すでに橇の客  山口誓子

※アシカもアザラシもオットセイも、鰭脚類です。



生活
【冬服】
「(…)一般に色は黒や濃紺、こげ茶などが用いられるが、若い人たちは明るいグレーや薄茶などを平気で身につけ、裏地もつけないもので身体の線を出している」
冬服と帽子と黒し喪にはあらぬ  谷野予志
みな黒きわが服のなかの冬の服   同
朝餉まつ冬服の膝折りそろへ    同

※冬服俳人、谷野さん。例句14句中3句。


【焼鳥】
「(…)一般に焼鳥といわれるものは、うしやぶたの臓物で、鳥といっても鶏肉ということになる。肉を串にさして焼き、醤油・味醂・砂糖をまぜたたれで食べる。肝や皮も食べる」

〈本来は山鳥などをとらえて焚火で焼いて食べたのだろう。美味であったにちがいない。今は手近かの牛・豚・鶏肉を焼く。たれが味を決定する
焼鳥の串が洗つて干してありぬ  山本馬句

※たれが大事だそうです。


【河豚汁】
「(…)ふぐでよく食べる種類は、まふぐ・ほんふぐ・とらふぐで、国家試験に合格した調理人が調理する。毒の強い魚なので、調理は専門家だけがする(…)」
※大事なことなので2回言いました。


【狐罠】
「狐は冬の夜鶏をとりに出てくることが多い。括罠のブッチメブッパジキ虎挟という罠を使う。餌のある板に足をかけるとばねの力で足をはさむようになる。時には火薬を餌に入れておいて、餌をかむと爆発するようにする。狐はずるい動物と信じられていて、きびしい罠が用いられる」

〈ずるがしこい狐という観念から、激しい罠が用いられ、逃げられないようにしている〉
※爆発は、まずいのではないか。

狐罠はじきとばして猪逃ぐる  古川芋蔓

※そして、虎を挟むという罠をはじきとばす猪……


【風邪】
〈(…)一冬に何度かかかり、治すには卵酒などをのんで寝ているしかない、気分のよくない病気である〉
幾日も風邪に寝て身が棒になる  山口波津女

※卵酒などをのんで寝ているしかなさそうな例句です。


【悴む】
「寒さのために、手足が冷え、よく動かせぬようになり、感覚もにぶくなった状態である。背中がまるまり、気持が沈み、口もきかず、ちぢまった様子である」

さむさに負けて、心身ともにちぢまった状態である〉

※口もきいてくれないというのは、問題です。



動物
【寒雀】
焼鳥として美味であるほか、寒そうに身をふくらませる雀の姿も、見なれているだけに、親しいものである〉
※本意の最初で焼鳥にするのは、いいのか。


【狼】

「人里で人や鳥獣を襲い、また旅人のあとをつけて襲う送り狼にもなったので、危険な動物だった」
【狐】
「大変利口で、他の動物をだましてとらえたりする(…)雄はギャーギャー、雌はコンコンと鳴く」
【狸】
「日本中どこにでもいるが、狐より小さく太り、警戒心が少ない」
【鼬】
「ときに野兎や鶏をおそい、血を吸ったりする」

〈最後っ屁がやはりもっともよく知られる〉
※以上、キャラの違いが、記述されています。狸は、軽んじられているようです。



植物
【枯芭蕉】
「芭蕉の葉は夏にいっぱいに伸びひろがるが、秋には風に吹かれてずたずたに破れる。冬になると、さらに破れ、葉は茎に垂れさがって無惨な状態になる」
※そこまで言わずとも、という思いは残る。




これで、春夏秋冬、完読です。
一年おつきあいありがとうございました。





→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(新年)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)

2011-01-09

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(新年)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ (新年)  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)


◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(秋)』(河出文庫)より引用。◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている。◯※印は、引用者のコメント。



あけましておめでとうございます。
まだ新年でしょうか。



時候
【松過】

「(…)松をとると気がぬけるといい、町は日常の姿に戻るが、しばらくは正月の余韻のようなものがのこる。」
松過の又も光陰矢の如く  高浜虚子

※*のついた「季題の特徴をもっともよくあらわしている」例句が、正月の余韻の残らない一句。


【二十日正月】
「一月二十日のこと。全国で、いろいろな呼び名のもとでおこなわれている節目である。(…)中国地方では麦正月といい、麦畑でころがり、腹や背がわれるほど麦を食べたいととなえる。団子を作って食べる風習も江戸時代からある。(…)」
※中国地方すげえ。となえたことある方、いらっしゃいますか……?



生活
【鏡餅】
神仏に供える円形で扁平の餅である。円い形で鏡に似ているので餅という。正月のお供え餅である。(…)」
鏡餅弁天池の石となれ  阿波野青畝

※ウルトラマンに登場する何かかと思いました。


【年酒】
<新年の祝いの酒なので、祝いの気持だけにすべきもので、酔いつぶれたりすることはその気持に反すること甚だしい。>
※たしかに、酔いつぶれるのはよくない。

馬に逢ひ年酒の酔の発しけり  秋元不死男


【初髪】
「(…)正月仕事はじめに、職場の若い女子社員は、島田・桃割れ・丸髷などに髪を結い、晴着を着て出勤することが多い。

<正月の髪をきれいに結った喜びのあらわれである。女性たちは晴れがましく、嬉しそうである。
※すべては、時の流れのせいです。



行事
【土竜打】
「小正月におこなわれる行事で、土竜が畑をあらすのを防ぐまじないの一つ鳥追い・犬追い・狼追い・獅子追いなどと一連のもので、村の暮らしに害になるものを追いはらうためのもの。九州から東北までおこなわれているが、杵で地面をついてまわったり、肥桶をこすってきいきい言わせたり、唱えごとをしたり、ブリキ罐・金盥の音を立てたり、槌をひいて回ったり、いろいろ威嚇・攻撃がおこなわれる。土竜がおそれるものとして、なまこが全国で使われる。縄でたわしのようなものを作り、ひきずったり、実際のなまこを苞に入れてひきまわしたり、とうらご(なまこ)のお通りだという唱えごとをしたり、いろいろのことをする子供が中心になっておこなわれる。」
※鳥追い・犬追い以外の全てを存じ上げませんでした。日本すげえ。

国分寺よりぞろ\/と土竜打  井上烏三公


【ぼんでん】
<神のより代である幣束をかたどった梵天を競って神社の拝殿に入れて、その年の福をさずかる神事だが、かなりの象徴的なところのある行事である。>
※気になります。



動物
【初鳩】
元日のさわやかな気分で見かける鳩のかわいさ、美しさをいう。>

「初詣でに出かけた神社仏閣などで見かけた鳩をいう。野生の鳩の場合には、きじばと、やまばとが山野で目につきやすく、デデッポーポーと鳴く。」


※鳴き声は変わらないようです。



「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(冬)」につづく。


→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)

2010-11-14

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ ()  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)


◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(秋)』(河出文庫)より引用。

◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。

◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている。

◯※印は、引用者のコメント。



今年はもうほとんど、秋がなかったんですが。歳時記の秋はいつでもいい季節。



時候
【八月】

「(…)立秋以前は天候がよく、登山によいが、立秋以後になると、山も涼しくなり、海水浴も下火になる。台風の発生も多く、土用波が立つ。暑さのピークのある月だが、下旬になると冷たい日があることもある。」
※「冷たい日」?となったのち、泳ぐ気だったんだと気づく。


【すさまじ】
「晩秋のつめたい、凄まじい感じをいう。(…)」
※……。


【冬近し】
「秋もおわり近く冬がすぐそこにあるときである。冬のくらさ、きびしさが圧迫感となって迫ってくる気がする。(…)」

(…)切迫した、おびえのような、緊張した気持がある。〉
※たいへんな、おびえようである。



天文
【名月】
〈古典に名句は数多く、厚い伝統の蓄積を感ずる。
乳房にああ満月のおもたさよ  富沢赤黄男

※間違ったこと書いてないのに、笑ってしまった。そののちの、おっぱい俳句。



地理
【秋の山】
〈『万葉集』にある「春は萌え夏は緑に、くれなゐの綵色(しみいろ)に見ゆる秋の山かも」(二一七七番)のように、山は四季それぞれに美しいが、秋はとくにはなやかで明るく、それでいてどこかさびしげなところをもっている。春は山笑ふ、夏は山滴る、秋は山粧ふ、冬は山眠るである。〉
駆け下る我を石追ふ秋の山  大橋桜坡子

※全部言ってしまっているシリーズ。前回は「春の星」でしたが。それにしても、大橋さんは、大丈夫だったのか? 

※この人の俳号は「おおはし・おうはし」と言い、斉藤齋藤さんのようである。



生活
【夜食】
「夜業や夜なべのあと、空腹をおぼえるので軽い食事をする。雑炊、あるいはさといも・じゃがいも・さつまいも・えだ豆のゆでたもの、餅・そば・うどん・だんご・かやくめしなどを食べることが多かった。夜泣きうどんうどんの出前も夜業と関係がある。」
*舌嚙むなど夜食はつねにかなしくて  佐野まもる

※照敏さんの解説とは裏腹に、ツラい一句。「例句中、季題の特徴をもっともよくあらわしていると思われる一句(*)」とされています。


【夜業】
〈夜なべの近代工業化したものという感じである。納期の迫った製品を頑張って作っているあわただしい雰囲気が夜寒の頃と相まって、忙しさを絵にかいたような感じである。〉

夜業人に調帯(ベルト)たわ\/たわ\/す  阿波野青畝

※本当に、お疲れ様です。


【添水】
「水がたまって重くなると竹がさがり水が流れ出て軽くなり、はね上る。すると他端が急にさがり、石や金を打って(…)九州では兎鼓とか左近太郎とか呼ばれ、山口でさこんたともいい、またなまって迫の太郎ともいわれていた。」

〈水による、しゃれた動物おどしである。〉
※どこからつっこんでいいか、分からない。



行事
【敬老の日】
〈平均寿命が高まり、高年齢層の数がふえている今日、老人医療、老人福祉の問題はかつてない重要さを加えている。老人の慰安会養老院の慰問敬老会などだけにとどまらぬ、この問題の掘り下げが必要である。〉
老人の日の大きな鯉がとびあがる  生駒花秀

※高齢化問題が気になっている。



動物
【鹿】
「鹿の交尾期は十月から十一月にかけてで、この頃雄はヒヨヒヨヒューヒューという声で鳴いて、他の雄に挑戦する。角をつきあわせて押し合うもので、逃げた方が負けになる。雄は負けた雄の連れていた雌を自分のものにし、ふつう雄一頭が五、六頭の雌をつれていてハーレムをなしている。(…)」

【猪】
「猪は偶蹄目いのしし科の獣。晩秋頃、夜になるときまった猪道を通って歩きまわり、鼻で地面を掘って小動物や植物の根をさがし、また田畑のいねや甘藷を食いあらす。いねは穂を食いちぎるだけでなく、ころげ回って押し倒し、畳のようにしてしまう。

※ 動物の項のはじめが、「鹿」「猪」。その次の「馬肥ゆる」「蛇穴に入る」「穴まどひ」あたりまで一気に読んでいただきたいところです。



植物
【柿】
は果物の中でもっとも古くから栽培されてきたもので、野生種からいろいろな種類に改良されてきた。実はあざやかな紅色に色づき、つやつやと輝いて美しい。甘と渋の二種に大別できるが、甘には御所・富有・次郎・禅寺丸などがあり、富有次郎が最上品である。渋には会津身不知、平核無(ひらたねなし)などがある。身不知は小粒だが、渋を抜くときわめてうまい。渋を抜くには酒や焼酎をふりまく。蜂屋は渋だが、としてうまいはこのほかに酢をつくるのに用いられる。日本の果物の中でもっともうまいとも言われる。

渋柿たわわスイッチ一つで楽湧くよ  中村草田男

※桃は「味のよい果物」、梨はある種類について「美味で評判がよい」、林檎は「食べて爽快な、美味の果物」、で、柿は「うまい」。

【熟
「晩秋、の実が十二分に熟れると、木の枝についたままで、色つやがふしぎな美しさになり、すきとおるようになって、さいごは重さに耐えず、ひとりでに滴のようにおちる。熟れすぎれば味は悪くなってゆくが、適当に熟れたすこぶるうまい。鳥がつつきに来る。」
口腔に殺到すべき熟柿かな  相生垣瓜人

※ 柿への愛のあまり、解説が詩的。かと思いきや、やはり「うまい」と。

【桐の実】
「桐の実は大きく、四、五センチの卵形で、先がとがっていて、熟すると二つに割れる。中は空室で、たくさんの種を出す。種には羽根があって飛ぶ。
桐の実や干鯵をまた乾かさむ  石田波郷

※解説も句も、とくに面白いことはない、はずなのですが。



「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(冬)」につづく。


→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

2010-08-15

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ ()  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)


◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(夏)』(河出文庫)より引用。

◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。

◯文字の色や大きさは、引用者によって、一部変更されている。

◯※印☆印は、引用者のコメント。



『新歳時記(夏)』の解説最後に「これらの業績の上に立って、一項一項筆を進めるとき、私はいつも、伝統の先端に立って、それを一かじり一かじり進めてゆく、栗鼠か何かのような気持をおぼえていた。」とあった。照敏さん……リスだそうです。



時候
【夏の果】

〈季節の果は惜しい気のするものだが、暑さから解放され、美しい秋が到来する喜びもあって、それほど使われぬ季題である〉
※「夏の果」が、そのままつかわれている例句はない。編者は、この季語が嫌いなだけなんじゃ?



天文
【夏の空】
「入道雲、夕立、夕立あとの空、夜の花火、夏の空には、男性的な活気がある」〈光つよく、きらきらと晴れ上った青空、太陽の輝き、入道雲の立つ夏空は暑いが、男性的な活力にあふれる〉
  わが浴むたくましき身に夏の空 飯田蛇笏
  大き木の光りいさまし夏の空  安藤甦浪


※……たしかにムンムンしている。

【夏の雲】
〈積乱雲は雲の峰という別季題なので、青空に白くもりあがる積雲が中心のイメージになる。男性的で豪快な空の眺めである〉
※また出た。



地理
【噴井】
「水の噴き出ている井戸のことで、山近くなどに多い。夏には涼しげだし、物を冷やすのに使えるので、昔は名所になり、茶店も作られていた。家の中の井戸から水の噴き出ているところもある。鯉を飼っていたりもする
※茶店はともかく、鯉情報は、特にいらない。

【滴り】
〈地表に湧く水の滴りで、つめたく、涼しげで、夏の旅先などの忘れられぬ体験になる
  滴りのつぶやき「山は山たりし」  但馬美作

※てかこの人の俳号、筑紫磐井的ね。



生活
【ナイター】
(略)東京ドーム、甲子園、横浜スタジアム、広島球場、ナゴヤ球場など、みなすばらしい照明施設があって、地面の芝、または人工芝のグリーンにはえて美しい。ちょうど勤めもおわり、夕餉のすんだときなので、テレビでナイターを見るのは、楽しい一日のくつろぎの時間になる
  ナイターの蟻出てくるよパンの為  平畑静塔

※心から、お好きそうである。

【水遊び】
〈夏の自然の遊びの代表的なもので、水に入れば、人に水を掛けたくなり、そうしたごく自然の、夏らしい遊びである〉
  水遊びとはだんだんに濡れること  後藤比奈夫

※ああ、何かいい。例句は、かの有名な長谷川櫂氏の「春の水とは〜」と、似てますね。

☆「生活」の項では、鮨の項目がべらぼうに長い。見開きのほぼ全部を使って、いろんな地方の鮨を紹介などしているのだが、長いので割愛。



行事
【父の日】
「六月の第三日曜日。父に感謝をささげる日。一九四〇年、ドッド夫人が母の日にたいして父の日もあるべきだとして提唱し、おこなわれるようになったが、一般にあまり関心はないようである。」
〈母も父もともに感謝されてしかるべきだが、父の日は母の日に比べてあまりおこなわれないようである。てれくさいのか、こわいのか、面倒なのか、父はなんとなく孤独な奉仕者である〉
※単にかわいそうである。



動物
【蚰蜒】
「節足動物で、むかでに近い虫。二センチほど、十五対の足がある。最後の足が長い。これらの足を動かし、速く走る。打ったりおさえたりすると足がばらばらにとれてしまうが、逃げてゆく。足はまた再生するという。しめっぽいところに住んでいる。小さい虫をたべる。いやなものの代名詞に使われ、またげじげじ眉などとも使う。太い濃い眉のことである」
※記述がくどく、最後は眉毛の話になっている。
〈足多く、気持のわるい虫という印象である。梶原景時をもって蚰蜒に比すなどといわれ、わるい印象のつよい虫である〉
  げぢげぢよ誓子嫌ひを匐ひまはれ 山口誓子

※随分印象が悪いようです。



植物
【枇杷】
〈五、六月の梅雨前の時期に豆電球のように熟す枇杷は明るく、があり、食べてもうまい。ただ核が大きくて、つるりところがるのがいたずらっぽい
※なんかもう、胸キュンである。

【睡蓮】
〈花も葉も蓮より小さいが、清らかな花で、花言葉は心の純潔である〉
  睡蓮の今も変らぬホテルかな 京極杞陽

※ぱっとみたところ、ほかの花に、花言葉の記述はない。で、この例句……。



「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)」につづく

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

2010-04-04

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ ()  

ハイクマシーン(佐藤文香・上田信治)



佐藤のtwitterにおけるつぶやき
160人の前で初めての講演、にも関わらず、しゃべる内容のメモも筆記用具も忘れて行ったんにはビビった。いつものとおり、何が話したいのかよくわからないかんじに終りました。収穫は、平井照敏の新歳時記は読み上げただけで大爆笑だったこと。つかえる。
4:31 PM Mar 4th

上田から佐藤へのダイレクトメッセージ
週刊俳句で連載して!
5:02 PM Mar 4th

同・佐藤から上田
おうおう(他の人に聞かなくていいんですか?w)
5:26 PM Mar 4th





◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(春)』(河出文庫)より引用。

◯カッコの種類により【季題】「季題解説」〈本意〉「例句」を区別し引用する。

◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている場合がある。

◯※印は、引用者のコメント。





【花時】

「桜の花の咲く四月の頃だが、他の花も咲きはじめて、はなやかな春の気分になる。日本は南北に長いので、三月から五月に時期はずれるが、春の感じが最高潮となる。」

※「最高潮」て。


【朧】
「月だけでなく、春の夜の万物がおぼろげにかすむことをいう。物だけでなく、鐘の音、灯影などにもいう。朧雲は高層雲のことで、縞や筋のある灰色の雲のヴェールである。」

※「ヴェール」て。


【春の星】
〈冬の星はつめたくきつく、夏の星はかっと燃えるようで、その間で、やわらかい、しっとりした、情緒ある輝きをしている。〉

※全部、言ってしまっている。しかも、冬も夏も。


【流氷】
〈酷寒の北海道の現象で、解氷の一種にはちがいないが、はるかに巨大で力感のあるものである。春の到来を流氷の動きが壮大な規模で如実に示す。〉

※全部言ってしまっている。


【春の土】
「春の土はなつかしい。あたたかくなると、ひとりでに土いじりがしたくなる。」

※私はしたくならない。


【渡り漁夫】
「北海道で鰊の漁期になると、渡ってくる漁夫のことで、多くは東北地方の漁夫や農民である。(略)最近では 鰊が不漁だが、かわりにいか漁、ほっけ漁などに従事している。」

※おかしなことは言っていないが、最近といっても20年前なので、いま、渡り漁夫がナニ漁に従事しているかは不明。


【遠足】
「春、秋によく行われるが、野遊、踏青などとの関連で、春の季語となっている。学校、会社、工場、官庁など、さまざまのグループの遠足があり、団体で、景色のよいところ、史跡、遊園地などに行き、遊び、弁当を食べてくる。多くは一日のもので、二日以上の場合は旅行になる。家族だけの遠足もあり、ハイキング、ピクニックなども似たものである。」
〈明治以後の季語である。(中略)最近はバスがよく使われるが、自然にふれて弁当を食べて帰るのは、いかにも春らしい楽しい行事である。〉

※弁当好き?


【三鬼忌】
「四月一日。俳人西東三鬼の忌日。三鬼の本名は斎藤敬直。明治三十三年(一九〇〇)岡山県津島市に生まれ、昭和三十七年(一九六二)同日神奈川県葉山町で死んだ。

※茂吉や虚子は「没した。」なのに。

〈三鬼は句作のはじめから、新鮮で詩的な句を作り、次第に伝統性を消化していった。言葉の魔術師といわれ、複雑な陰翳をひそめたペーソスのある新鮮な人なつこい句風であった。〉

※ものすごい句風である。

   カラ/\のひとでを拾い三鬼亡し 沢木欣一
   支那街に揺るる焼肉西東忌    秋元不死男


【鴉の巣】
「春さきから鴉は繁殖期にはいり、森に巣を作って卵をうむ。(中略)前年の単が使われる。(後略)」
〈鴉はその鳴き声できらわれるが、親子の情が深く、一つがいがよく子育てをする。巣づくりのために馬の尾の毛を抜きにくることもあるということである。〉

※そんな情報いらん!


【猫柳】

「(前略)長楕円形の花穂は苞の白い毛が密生する。これが銀色に輝いて美しく、猫に似た感じがある。(後略)」
〈暖かさが感じられる頃に咲く猫柳は、はっとするほどかわゆく、うつくしい。銀色の光沢も、あたたかさのなかで、心をくつろがせる。のどかな情感がある。〉


※平井さん、猫好き?

サルビアの咲く猫町に出でにけり 平井照敏

※これは、いい句ですね。





「平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)」につづく