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2015-11-29

いわき市復興支援 プロジェクト傳カレンダー頒布のご案内

いわき市復興支援
プロジェクト傳カレンダー頒布のご案内


いつも、プロジェクト傳へのご支援、ありがとうございます。

いわき市復興支援組織プロジェクト傳は、伝馬船の「伝」と伝統文化の「伝」にちなんで名付けられました。もともとは、2007年に行われた伝馬船の製作と操法の伝習が目的でした。2011年の東日本大震災の後は、福島県いわき市の復興支援と海の民俗文化の継承を目的とした組織として再スタートしました。

今年も復興支援カレンダー(2016年版)の頒布を行います。今年は環境水族館アクアマリンふくしまの阿部義隆館長の魚のイラストです。カレンダーの売り上げはすべてプロジェクト傳の活動に使用させていただきます。

また、オリジナルポストカード(3人の女性アーティストの作品)、及び、昨年に引き続き「いわきガイドブック いわきに、行ってみた!」「あんばさまの町図絵」も頒布しています。

価格
いわき市復興支援卓上カレンダー  1部500円
オリジナルポストカード(11枚セット) 1部500円
いわきガイドブック            1冊500円
あんばさまの町図絵          1冊1000円

申込連絡先
project_den@me.com

その他詳細は
http://project-den.com/menu/ban_buguzzu.html
(プロジェクト傳HP 頒布品ご案内)

をご覧ください。

みなさまのあたたかいご支援をお願いいたします。

プロジェクト傳東京事務局代表 山崎祐子


2014-03-09

10句作品 山崎祐子 海鳥

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週刊俳句 第359号 2014-3-9
山崎祐子 海鳥
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10句作品テキスト 山崎祐子 海鳥

 海鳥  山崎祐子

綾取は梯子から塔空青し
近道をする節分の豆を踏み
豆を撒く豊間の海を見下ろして
健啖を褒め合うてをり春炬燵
料峭や海鳥白と黒ばかり
沖へ出て雨は霞にいわきかな
子に水掻き魚に手足春浅し
クリオネの一所懸命卒業期
魚の群に膨らむ意志よ三月は
母の息思はぬ近さ石鹸玉


特集・三年目の3・11 エッセイ 「三年目の風景」 山崎祐子 関根かな 風間博明

特集・三年目の3・11 
エッセイ 
三年目の風景

山崎祐子 関根かな 風間博明


リセット  山崎祐子

二月に、いわきでプロジェクト傳のメンバーと会ってきた。

いわきの津波被災地では、昨年の十二月から本格的な土木工事が始まった。どこに誰の家があったのか、もうまったくわからない。 グーグルで検索すると道路があるはずなのだが、ところどころフェンスがはられて立入禁止になっており、地図の通りには通れなくなっているところもある。

これから、大きく変わるのだ。地域にとって、ようやくのスタートである。喜ばしいことであるが、一抹の寂しさもある。

この景色を見て思い浮かべるのは、多摩ニュータウンの開発のこと。 「平成狸合戦ぽんぽこ」の世界だ。

多摩ニュータウンは、山を削り、谷を埋め、田畑を地域に残さない方針の開発計画であった。豊かな緑の農村は、関東ローム層が剥き出しになった赤い丘陵を経て、ニュータウンとなった。

私は平成元年から多摩ニュータウン地域で民俗調査を続けてきたが、ここ何年かで開発のことを知る方が亡くなり、多摩の語り部、開発の証言者といえる方たちがほぼいなくなってしまった。

新しい景観が完成すれば、さまざまなものがリセットされるのであろうが、途中のこの景観は、痛々しいという言葉以外に表現ができない。

もちろん、感傷に浸っているだけでは先へは進めないことも事実。 「痛々しい」という気持ちを忘れずに乗り越えてこそ、未来があるのだと思った。

*プロジェクト傳では、4月19日、20日の二日間、台東区上野で「いわき復興の響き展」を行います。20日は、じゃんがら念仏踊りの上演やいわきの物産市もあります。詳細はホームページをご覧ください。 

プロジェクト傳HP 



光る雪  関根かな

東日本大震災から三年が過ぎた。もう三年なのか、まだ三年なのか、私自身まだ整理ができていない。友人の父は未だ行方不明で、彼女とは震災の話をすることはない。

私の住居は、波音も遠い仙台市の内陸部に位置しているため、家屋や家財の被害はほとんどなかった。ただ、あの日、三月十一日の事は今でも画像や音響を伴って鮮明に蘇る。

大きく長い揺れの直後は、重い灰色の空だった。サイレンが鳴り響き、余震のたびに自分自身の身体も震えた。

徒歩での帰宅の途中は、灰色だった空に、急に光が差し込み、光りながら雪が降り始めた。

自宅の近くの高台からは、港の近くで黒煙が立ち上っているのが視界に入った。山の方を見ると今まで見たことが無い、薔薇が燃え尽きたような色の空があった。

歩きながら俳句を作った。

この一日を言葉に、十七音に留めなければならないと、無意識の意識の中で、言葉を繋いだ。

三年経った今、まだ言葉を繋ぎ続けている。



それでいいのか  風間博明

三年前の3月11日の地震・津波・原発事故による放射能。福島は本当に痛めつけられた。

そして、先祖から続く家も土地も家業も失い、将来の希望の糸口も見つけられず、難民のような放浪生活を余儀なくされている人たちは、十数万人にもなっている。
国は、復興よりもまず避難民の補償を優先させなければならないが、それはなされていない。国は巨大な利権の温床となっている東電などの電力企業を守ることに必死になっているのだ。

 全町避難の浪江町、完全な死の町と化した町の目抜き通りにかかるアーチ「原子力・明るい未来のエネルギー」の看板が虚しい。

震災後、着の身着のままに全員逃げた立ち入り禁止区域での、窃盗行為の横行、玄関に貼り出された文章。  

コラードロボー
3/12町のみんなが、どんな思いで
町を離れたか分かるかー
絶対バチあたるからな、
必ずバチあたるからな、仏様が見てるから

走り書きのこの文字に、なんともやるせない思いにかられた。

卒業式の最中に震災に見舞われた学校では、体育館のステージに卒業式の式次第と横断幕が貼り出されたまま、床は大きく抜け落ちたままだった。
福島の原発は、今も高濃度の放射能を放出し続けている。今後の展開は予断を許さず、再び大きな震度6以上のことが起きれば、あそこにある建て屋は吹き飛び、電源は喪失され世界史上類例をみない大爆発が起きると想定されている。
それは広島長崎の原爆の数百倍の大きさだと聞いている。
このようなことが起こるはずがないなどと根拠のない思い上がりのもとに高をくくり、莫大なる利権の確保に狂奔している、今の政治に心より怒りを覚える。

福島の人々は、お人好しが多い、そして子供達はまことに健気である。
そして福島が好きなのだ。

政府もメディアもことさらに原発事故の問題を風化させようとしている。

それでいいのか。今回は福島だったが、明日は我が身ということに、心を致せないものなのか。

私自身も、地元450軒余りの町会長をしている関係で、町内にある空き地・宅地500坪に汚染土の「仮仮置き場」を作るかどうかという、町会有史以来の大きな騒動に直面した。
最終的に臨時総会を開いて汚染土の「仮仮置き場」設置にいたり、今は家庭の汚染土は全て埋設が終わったところである。そこに至るまで、反対派の人々の僕個人に対する誹謗中傷のビラの配布など塗炭の苦しみを味わった。まさに原発事故の只中にいたに相違ないのであった。このことは語れば余りにも長くなるので、折りがあれば話したいと思う。
我々は、何も問題がなければ政治などに関心を払う必要も無いのだが、原発問題は、あまりにも危険な状況に立ち至っており、看過できないのである。

 角川「俳句」の三月号では震災特集がなされ、尊敬する多数の先生方が原発に異議を唱えておられたことは、誠に心強い限りであると思った。

原発反対運動は、巨大で広範な権益集団との戦いなので、粘り強くやっていかなくてはならないと思う。

2013-11-10

「あんばさまの町図絵」のこと 忘れないために 山崎祐子

忘れないために

山崎祐子(プロジェクト傳 東京事務局 代表)


東日本大震災から3度目の冬を迎えます。
この度、いわき市復興支援組織のプロジェクト傳では、津波で大きな被災を受けた地域の被災前の景観を忠実に復元した「あんばさまの町図絵」を作製しました。

  (「あんばさまの町図絵」より)

地元では、この図絵で記憶を辿りながら、かつての漁業の民俗をまとめたいという希望が出ています。放射能の問題で、いわき市の漁業は再開することはできませんが、来年度も地元の要望に寄り添う形で活動を計画する予定でおります。

「あんばさまの町図絵」は「平成26年度いわき復興支援カレンダー」販売の収益を補助として製作しました。図絵とカレンダーは一般頒布し、収益のすべてを震災復興に充てております。

問合せ:プロジェクト傳 E-mail:project_den@me.com