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2020-12-20

【句集を読む】旋律 豊里友行『宇宙の音符』を読む 小林苑を

【句集を読む】
旋律
豊里友行宇宙の音符』を読む

小林苑を


夢を漕ぐ
Rowing a dream    豊里友行(以下同)

どれを選べばいいの、と『宇宙の音符』をいったん閉じる。音符は煌めき飛び交い飛び散り、さまざまな音色を奏でてくれる。優劣も好き嫌いもつけられない。とりあえず表紙を見てよ、この表紙のような句群なの。楽しくなるでしょ。さまざまな音色の背景には厳しい沖縄の現実が、怒りが、横たわっているのだ。だけど、それでも、とても明るい。

沖縄の海を思う。あのブルー。人を思う。あの笑顔。初めて乗ったタクシーの運転手氏は昔からの知り合いみたいに話した。仕事で出会った人は時間があるなら付き合うよと言ってくれた。初めてなのに隠さない、開けっ広げ。『宇宙の音符』はあの沖縄だ。

2015年から2020年まで時間を追いながら全11章。最初の章のタイトルは「夢を漕ぐ」。この章は一句のみで、それが掲句(笑)。この自由律以外にも、スタイルの違う句がさまざまに並ぶのだけれど、この最初の一句こそが句集の主旋律だと思う。装丁にも、挿画にも、一句一句につけられた英訳にも流れる。

はなざかりのしままるごと遺品なり
Flowers bloom extensively, all of the island relics

さらに《青空の画鋲のような戦闘機》《あふりかまいまいつぶしてあるく老婆》《君は夕焼けに滅ぼされてゆくよ》等の哀切にも主旋律は流れる。

大好きな4章「がっこうでおしえない」はなんと言ってもタイトルが良い。《口説き方わからない埴輪になっちゃた》《かばをみるかばにみられる夏休み》《首のない平和な冷凍庫のチキン》《森も海も奪うこの手はなんですか》。それらはとても大事なこと。

選ぶのがほんとに難しいので、2章「エキストラ」の最後の句で了ることにする。この章は総出演って感じなのだが、なにが総出演かを説明すると長くなるので省略。興味のある方は見てください、読んでください。

月も踊れ
花も踊れ  宇宙の音符よ
日も踊れ
Moon, dance/Flowers, dance/Sun, dance  note of universe
〔註〕「踊れ」にはすべて「モーレ」の振仮名。


豊里友行『宇宙の音符』2020年9月/沖縄書房






2016-02-07

イメージのスピード感 豊里友行『地球の音符』の一句 西原天気

イメージのスピード感
豊里友行地球の音符』の一句

西原天気


それっ蟹が穴掘る月と太陽(ティダ)の笛  豊里友行

ティダは太陽の沖縄読み(だと思う。詳しくは調べていない)。

浜と天空と、垂直の構図は俳句ではめずらしいものではないが、際立って鮮明に、強烈な映像美をもっているのは、やはり亜熱帯という舞台あってこそだろうが、句そのもののイメージ塑像の成果でも、もちろんある。

太陽と月が並列される豪華に「ティダ」というローカリティの要素が加わり、さらに「笛」という音がかぶせられる。

導入の「それっ」の勢いに、以降のスピード感が続く。

俳句は調べだ、と信じる自分に、この句は、鳴って鳴ってしたかがないほど、よく鳴る。「鳴る」とは韻律の問題だけではない。意味とイメージと韻律によって、句は、鳴るのだ。


豊里友行句集『地球の音符』(2015年12月20日/沖縄書房/1,080円)



2014-08-10

豊里友行 辺野古 10句

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週刊俳句 第381号 2014-8-10
豊里友行 辺野古
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10句作品テクスト 豊里友行 辺野古

辺野古   豊里友行

貝となる祈りの掌中にジュゴン寄る

強化する基地は恐竜の骨組み

カヌー隊は波の音色の音符です

鮟鱇の夢さばかれた白図面

蝶交るカノンの海の鍵穴よ

海の挽歌拒むジュゴンの打楽器
 
海が焼く顔ならカヌーの辺野古沖 

海潰すわれも墓標の一本です

天日干し抵抗の種や北極星(ニヌファブシ)

海も陸も座り込み日々のさざ波

2013-04-14

豊里友行 島を漕ぐ 10句


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週刊俳句 第312号 2013-4-14
豊里友行 島を漕ぐ
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2009-11-22

豊里友行 戦争 10句

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私は沖縄戦を体験していない。 それなのに私がこの戦争にこだわってしまう。 勿論私の戦争俳句など笑われて捨て置かれるモノかもしれない。 そう俳句文学も体験という檻に閉じ込められてしまう。 だが私の血潮を熱くする祖先の列がこうして私まで続いているのだ。 沖縄戦では沖縄県民の半数以上が戦死している。 俳人には死者の声など感じ取れないのだろうか。 戦跡や戦争体験者との交流などで追体験する私の心が感じた戦争を詠む。 生き残れた祖先の奇跡を私は戦争文学として詠いたいのだ。 また花鳥諷詠に終始せず俳句を言葉の海に泳がす。 そうすることで俳句文学の地平を開拓して行きたい。

週刊俳句第135号 2009-11-22 豊里友行 戦争
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