2007-08-05

第1回 週刊俳句賞 櫂未知子 選と選評

櫂未知子  選と選評


 ※作者名は選評をいただいたのち編集部で付記いたしました(読者の便宜を考慮)。


20 更衣室(浜いぶき) 2点

一句一句の抑制ぶりと、華やかさとで、トップに推す。〈日本画に〉の〈ほたるぶくろ〉は季語としては疑問。

14 薄荷菓子(金子 敦)  1点

軽やかな味わい。惜しいのは〈オート三輪〉の句。過去の時制の季語は、季語として機能しにくい。

15 ベタ(興梠隆) 1点

言葉が多いけれども、一句一句が魅力的。〈炎天の〉の〈ゲルニカ走り〉は疑問。

25 銀の匙(中嶋憲武) 1点 

季語の本意を少しずつ崩そうとする試みが心地よい。一句目はつまらない。〈鋭角の〉は下五でいきなりまとめすぎ。

35 シャツ汚す(小池康生) 1点

抑えの効いた作風が魅力的。仮名遣いに注意。


安直な取り合わせで遊んだだけと思える作品は落とした。2点入れた「更衣室」は、〈日本画にほたるぶくろの眠たさう〉がなければ3点入れたかもしれない。
全体として、「この句さえなければ」「このミスさえなければ」「旧かななら、ちゃんと統一してほしい」と思える例をたくさん目にした。「十句揃えるのも大変だなあ」と身につまされつつ、楽しく拝読した。