2007-09-02

野口裕 銀河より

野口 裕 銀河より


新 米 に 隕 石 の 粒 混 じ り あ り   谷口智行

隕石というと、どでかいものを思い浮かべてしまうが、当然小粒のものもある。数からすればそちらの方が多いだろう。ごく小粒のものを顕微鏡で丹念に調べるアマチュア天文愛好家もいると聞く。そんな人が、新米に混じった黒い小粒を見て、「それ、隕石だよ。」とでも言ったか。そんな会話がなくて作者の想像でも、もちろんかまわない。ユーラシア大陸の端っこの日常生活の中からひょいと浮かび上がった宇宙現象、しかも視線は下を向いたままで。

なんとなく、隕石なんかどうでもいいんだよ新米こそが問題なんだよと、言いたそうなそぶりもまた笑って受け入れようかと思わせる。



烏 瓜 咲 い て 灯 と も す 活 版 所   中嶋憲武

道具立てから、「銀河鉄道の夜」を連想させる句。「銀河鉄道の夜」に登場する烏瓜は実だと考えられるが、それを花に転調し、夏の夜を一層強調している。印刷所の現場は知らないが、ジョバンニのような活字を拾う文選工はもはや存在しないだろうから、読み手の想像はごく自然に時の流れにも及んでしまう。



津田このみ 空 蝉
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谷口智行 おんどれ
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中嶋憲武×さいばら天気 「一日十句」より31句×31句
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なかはられいこ 二秒後の空と犬
大石雄鬼 裸で寝る
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