【週俳12月の俳句を読む】
上田信治
すこし遅れて
裏口で鯨の肉を見せらるる 仲 寒蝉
その肉の味を、自分が知っていることに驚く。
紅葉山展く四〇二号室 矢羽野智津子
紅葉山「を」四〇二号室「が」展く、ではなく「紅葉山」「展く」「四〇二号室」。
襟巻や誤読のやうに夜が来て 笠井亞子
いつのまにか、すっかり誤読である。寒い。
地に雪嶺生れ雪嶺に雲うまれ 相子智恵
アニメである。
鴨つぎつぎ胸のかたちを整へり 太田うさぎ
萌えである。
鏡中のこがらし妻のなかを雲 田島健一
すばらしく妻をほめている。
石跳びぬ蹴るともなしに冬日向 小池康生
てんてんとする石を追う、作者。すこし遅れて、読者。そのさきに冬日向。
■ 浜いぶき 「冬の匂ひ」10句 →読む
■ 小池康生 「起伏」10句 →読む
■ 田島健一 「白鳥定食」10句 →読む
■ 太田うさぎ 「胸のかたち」 10句 →読む
■ 冨田拓也 「冬の日」 10句 → 読む
■ 相子智恵 「幻魚」 10句 →読む
■ 笠井亞子 「page」 10句 →読む
■ 中原徳子 「朱欒ざぼん」 10句 →読む
■ 矢羽野智津子 「四〇二号室」 10句 →読む
■ 仲 寒蝉 「間抜け顔」 10句 →読む
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2008-01-13
上田信治 すこし遅れて
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