2011-02-20

平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(冬)

井照敏 『新歳時記』(河出文庫) っこむ (冬)  

ハイクマシーン(佐藤香・上田信治)

◯季語についての記述は、すべて平井照敏編『新歳時記(冬)』(河出文庫)より引用。◯カッコ・書体の種類により引用の【季題】「季題解説」〈本意〉 例句 を区別する。◯文字の色や大きさは、引用者によって変更されている。◯※印は、引用者のコメント。



大晦日はじまりですみません。



時候
【大晦日】

〈(…)行く年を惜しみ、来る年を喜ぶこころで、一年の節目にあたるときである。新年の用意をする人、金銭の決済に苦しむ人、帰省する人、遊楽にゆく人、のんびりと漫歩する人、さまざまの人生絵巻がくりひろげられる〉
※人生絵巻とまで言えるのは金銭の決済だけ。


天文
【冬旱】
「冬、晴天がつづいて雨がなく、からからにかわききってしまうこと。(…)太平洋側の表日本では、一年で一番雨のないときで、人々は濁水に困りきってしまう

〈晴れはよいことだが、雨が降らないと、乾燥して、喉をいためてしまう(…)〉
※つらいことがあったらしい。


【雪晴】
「雪の揚句の裸坊の洗濯」ということばがあるような天気で、雲一つない青天が広がる〉
※そんな言葉知らなかった……。



地理
【氷海】
「(…)流氷は動いているが、あしかあざらしがのぼってねていたり、おっとせいが氷の間から首を出したりする」
氷海や船客すでに橇の客  山口誓子

※アシカもアザラシもオットセイも、鰭脚類です。



生活
【冬服】
「(…)一般に色は黒や濃紺、こげ茶などが用いられるが、若い人たちは明るいグレーや薄茶などを平気で身につけ、裏地もつけないもので身体の線を出している」
冬服と帽子と黒し喪にはあらぬ  谷野予志
みな黒きわが服のなかの冬の服   同
朝餉まつ冬服の膝折りそろへ    同

※冬服俳人、谷野さん。例句14句中3句。


【焼鳥】
「(…)一般に焼鳥といわれるものは、うしやぶたの臓物で、鳥といっても鶏肉ということになる。肉を串にさして焼き、醤油・味醂・砂糖をまぜたたれで食べる。肝や皮も食べる」

〈本来は山鳥などをとらえて焚火で焼いて食べたのだろう。美味であったにちがいない。今は手近かの牛・豚・鶏肉を焼く。たれが味を決定する
焼鳥の串が洗つて干してありぬ  山本馬句

※たれが大事だそうです。


【河豚汁】
「(…)ふぐでよく食べる種類は、まふぐ・ほんふぐ・とらふぐで、国家試験に合格した調理人が調理する。毒の強い魚なので、調理は専門家だけがする(…)」
※大事なことなので2回言いました。


【狐罠】
「狐は冬の夜鶏をとりに出てくることが多い。括罠のブッチメブッパジキ虎挟という罠を使う。餌のある板に足をかけるとばねの力で足をはさむようになる。時には火薬を餌に入れておいて、餌をかむと爆発するようにする。狐はずるい動物と信じられていて、きびしい罠が用いられる」

〈ずるがしこい狐という観念から、激しい罠が用いられ、逃げられないようにしている〉
※爆発は、まずいのではないか。

狐罠はじきとばして猪逃ぐる  古川芋蔓

※そして、虎を挟むという罠をはじきとばす猪……


【風邪】
〈(…)一冬に何度かかかり、治すには卵酒などをのんで寝ているしかない、気分のよくない病気である〉
幾日も風邪に寝て身が棒になる  山口波津女

※卵酒などをのんで寝ているしかなさそうな例句です。


【悴む】
「寒さのために、手足が冷え、よく動かせぬようになり、感覚もにぶくなった状態である。背中がまるまり、気持が沈み、口もきかず、ちぢまった様子である」

さむさに負けて、心身ともにちぢまった状態である〉

※口もきいてくれないというのは、問題です。



動物
【寒雀】
焼鳥として美味であるほか、寒そうに身をふくらませる雀の姿も、見なれているだけに、親しいものである〉
※本意の最初で焼鳥にするのは、いいのか。


【狼】

「人里で人や鳥獣を襲い、また旅人のあとをつけて襲う送り狼にもなったので、危険な動物だった」
【狐】
「大変利口で、他の動物をだましてとらえたりする(…)雄はギャーギャー、雌はコンコンと鳴く」
【狸】
「日本中どこにでもいるが、狐より小さく太り、警戒心が少ない」
【鼬】
「ときに野兎や鶏をおそい、血を吸ったりする」

〈最後っ屁がやはりもっともよく知られる〉
※以上、キャラの違いが、記述されています。狸は、軽んじられているようです。



植物
【枯芭蕉】
「芭蕉の葉は夏にいっぱいに伸びひろがるが、秋には風に吹かれてずたずたに破れる。冬になると、さらに破れ、葉は茎に垂れさがって無惨な状態になる」
※そこまで言わずとも、という思いは残る。




これで、春夏秋冬、完読です。
一年おつきあいありがとうございました。





→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(新年)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(春)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(夏)

→平井照敏編『新歳時記』(河出文庫)につっこむ(秋)

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