週刊俳句編・新アンソロジー
『俳コレ』刊行のごあいさつ
さる12月10日、週刊俳句編による新アンソロジー『俳コレ』(邑書林)が刊行されました。
はしがき「はじめに」をここに掲載し、ごあいさつに替えたいと思います。
はじめに
●本書は、十九歳から七十七歳(刊行時)の、比較的新しい作家の作品を集めた俳句アンソロジーです。
●入集作家の選定は「週刊俳句」編集部がおこないました。総合誌、年鑑等からピックアップした数十人におよぶ作家の作品を、結社誌等に当たって検討し「この人の作品をまとまった形で読みたい」と思われた作家に、入集を依頼しました。
●掲載作品百句は、各作家自撰による二百句から七百句を元に、編集部より依頼した撰者が選出したものです。
●作品を他撰とした理由は「その方が面白くなりそうだったから」ということに尽きます。信頼できる作家による他撰によって、最も作品本位・読者本位の価値基準による選考が実現されることを、編集部は企図しました。その委嘱にお応えいただいた各撰者には、あらためて敬意と感謝を捧げます。
●一般に、辞書、全集、選集などの前書は、編者からの挨拶であると同時に、その刊行が公的意義を持つこと、編纂が公的意志を代行する形で行われたことを、慎ましく(あるいは勇ましく)述べる場であるようです。その例に倣うなら、ここで、俳句の豊穣あるいは危機について語るのがふさわしいのかもしれない。
●自己紹介から始めましょう。「週刊俳句」は、二〇〇七年創刊のウェブマガジンです。インターネットで、俳句について書いていた人間が集まって「週刊俳句」は始まりました。幸運にも、多くのボランティア的な協力と予想以上の読者の参加によって、活動は継続しています。私たちに存在理由があるとすれば、それは、他のすべてのメディアと同じように、人々の欲求を代行する代理人であることに、求められるでしょう。
●「週刊俳句」の場合、その欲求は、同時代の俳句に対する欲求です。俳句はどこまでも多面的であっていいし、もっと紹介されていい作家や、もっとふさわしい価値基準があるはずだ。それは、私たちが俳壇ヒエラルキーを離れ、読む側の立場から活動するうちに発見した欲求です。
●本書が、同時代の俳句の多面性を示すアンソロジーとなること。同時代の読者の潜在的欲求の中心に応える一書となること。それが、編集部として、自ら本書に課した主題です。
●書名『俳コレ』は「俳句コレクション」または「俳句のこれから」の略であり、「はい、これ」と手渡す俳句である、との意を込めました。
●同時代の俳句の魅力を伝えることは、俳句というジャンル自体の欲求を代行することかもしれません。本撰集が、まさに俳句に待ち望まれた一書であることを、私たちは、願いかつ確信しています。
『俳コレ』
俳句のこれからを担う作家22人の代表作各100句
週刊俳句=編 邑書林=刊
2011年12月10日刊行 304p 1890円(税込)
入集作家(カッコ内は作品撰小論担当)
野口る理 (関 悦史撰)
福田若之 (佐藤文香撰)
小野あらた(山口優夢撰)
松本てふこ(筑紫磐井撰)
矢口 晃 (相子智恵撰)
南十二国 (神野紗希撰)
林 雅樹 (榮 猿丸撰 小論・上田信治)
太田うさぎ(菊田一平撰)
山田露結 (山田耕司撰)
齋藤朝比古(小野裕三撰)
雪我狂流 (鴇田智哉撰)
岡野泰輔 (鳥居真里子撰)
山下つばさ(島田牙城撰)
岡村知昭 (柿本多映撰 小論・湊圭史)
小林千史 (山西雅子撰)
渋川京子 (大木あまり撰 小論・小川楓子)
阪西敦子 (村上鞆彦撰)
津久井健之(櫂未知子撰)
望月 周 (対馬康子撰)
谷口智行 (高山れおな撰)
津川絵理子(片山由美子撰)
依光陽子 (高柳克弘撰)
鑑賞座談会=池田澄子・岸本尚毅・関悦史・高柳克弘・上田信治
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邑書林「俳コレ」ウェブサイト ≫俳コレ
出版記念会シンポジウム&パーティー「竟宴」
12月23日 13時より 於東京・アルカディア市ヶ谷
こちらの情報も順次公開して参ります。なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。
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