2014-02-16

【週俳1月の俳句を読む】 神々しい一句 三島ゆかり

【週俳1月の俳句を読む】
神々しい一句

三島ゆかり


ひかりからかたちにもどる独楽ひとつ 神野紗希

季語として詠まれるような伝統的な独楽であれば、どんな独楽も軸を中心に対称に作られているはずだから、円に見えたり色が混ざって見えていたものが、文様に戻るようなことはあっても、独楽自体がひかりからかたちにもどるようなことは、現実的にはあり得ないだろう。

たぶんこの句が言わんとすることはそういうことではない。

回転する独楽は、神性を帯びているのである。そして回転を終えるとき、独楽は神性を失いただの物質に戻るのである。

虚子に「能すみし面の衰へ暮の秋」があるが、「ひかりからかたちにもどる」はもっと大胆で説明過剰を感じさせない。

神々しい句である。


第350号2014年1月5日
新年詠 2014  ≫読む

第352号2014年1月19日
佐怒賀正美 去年今年 10句 ≫読む
川名将義 一枚の氷 10句 ≫読む
小野あらた 戸袋 10句 ≫読む

第353号2014年1月26日
玉田憲子 赤の突出 10句 ≫読む

1 コメント:

大江進 さんのコメント...

回転しているときは紋様や形のデティールが渾然一体となって分からないのに、回転がとまるとそれらがはっきりする、と私は単純に思いました。その単純な事実を「ひかりからかたちにもどる」と詠んだところがすてきなので、神性云々は私にはむしろ余計かな。