【週俳1月の俳句を読む】
神々しい一句
三島ゆかり
ひかりからかたちにもどる独楽ひとつ 神野紗希
季語として詠まれるような伝統的な独楽であれば、どんな独楽も軸を中心に対称に作られているはずだから、円に見えたり色が混ざって見えていたものが、文様に戻るようなことはあっても、独楽自体がひかりからかたちにもどるようなことは、現実的にはあり得ないだろう。
たぶんこの句が言わんとすることはそういうことではない。
回転する独楽は、神性を帯びているのである。そして回転を終えるとき、独楽は神性を失いただの物質に戻るのである。
虚子に「能すみし面の衰へ暮の秋」があるが、「ひかりからかたちにもどる」はもっと大胆で説明過剰を感じさせない。
神々しい句である。
第350号2014年1月5日
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第352号2014年1月19日
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第353号2014年1月26日
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2014-02-16
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1 comments:
回転しているときは紋様や形のデティールが渾然一体となって分からないのに、回転がとまるとそれらがはっきりする、と私は単純に思いました。その単純な事実を「ひかりからかたちにもどる」と詠んだところがすてきなので、神性云々は私にはむしろ余計かな。
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