2018-02-04

〔名歌にしたい無名歌〕狂歌通名歌は名歌か 寒夜の考 robin d. gill(敬愚)

名歌にしたい無名歌狂歌通名歌は名歌か 寒夜の考
昔の俳友よ、今回は、俳句もじりナマコの歌も出てくるぞ!

robin d. gill(敬愚)


寒き夜ハいかなる歌もよみつべし余りかゞめば人丸になる 宗也

On a cold night, just whose poems should a person read?
With arms and legs pulled in, Hitomaru is all you need!


上記1666年の大狂歌集に出た首は『古狂歌 ご笑納ください』の第051章の章頭歌。下記にその蛇足をそのままに載せる。読者諸君に訊きたい事は三つある。1)宗也の人丸寒夜の首は解り易いし幾つかの狂歌集に転載されたから、古狂歌通には知る人が多いが、一般人にとって「百人一首」と比べて「無名歌」になるでしょうか。2)誰でも面白く読めるかと思うが、それが我が勝手な感情か、これは全国民にとって面白く読めるかどうか。3)下記の首には、名歌になってもいいものはありますか。それとも数奇者同士で楽しむのが十分でしょうか。

英訳は中々うまくいけないが、原歌に惚れた。現実と人名の偶然一致に頼りながら、よめば直ぐ落ち着く歌ですね。物名と人名を弄ぶ歌を見下す人でも、この狂歌を楽しむかと思う(そうでない人おられば、手紙下さい!)。逆に言えば、これを鑑賞できなければ、日本古来の道教っぽい同音語中心のナイヴな信仰も滅びた。人丸寝の歌もやはり教科書に是非入れたいもう一首だ。英訳に無理あるが、もう一トライ。


Poems best read on a cold night? My advice is sound:
if you’d curl up to stay warm, keep Hitomaru around!


[改訳を2018/2/1又も直したら、有り難いことに妙訳できた! 脚韻の為に思いついたsoundは信用できると異意同音だ]★宗也の「~人丸になる」章頭歌にかろうじて負けた寒寝の一首もある。鷺石の俳風狂歌「尻かしら分らぬ計り引っ担ぐ布団の内で聞く海鼠売り」。これは狂歌大観・上方・江戸の三大集に見当たらず、幕府後期に出た『狂歌題林集』に拾った。尾頭見分けぬ去来の海鼠名句の借り枕に布団を加えて、百年後の野坂か荷風のポルノ屋の小説に出た交合中の二人が納豆売りを聞く場面まで入る三十一音字ならではの内容。そう言えば、章頭歌にぎりぎりの納豆の秀歌も、二首ある。★下記なる天明狂歌の浜辺黒人の首と★二、三十年後の上方狂歌の末期の末丸の「べらりっと寝さして置いた其かわり起きよと叩く納豆の汁」。


門ならで夜半にたゝくは納豆のよくねているを起こすひゞきか

In the wee hours, a knocking sound, but not from the gate:
would that mean our fermented beans are finally awake?


敬愚は、黒人の首の「門」に潜む水鶏句の数奇だ。読めば直ぐ自分で歌句を詠みたくなる。「門ならでとりなし床の下に舌打つ音聞けば食える納豆」と返歌ないし詠み直しもしたくなったが、甘やかして寝させた報いを詠んだ末丸の方の「べらりと」の耳応えが上だろう。双方を読み直せば、末丸の寝行動の心理学に舌を巻いたが、夜半に半ば覚めている心の意識と納豆がなる過程の平行描写を結ぶ何でしょうかの文尾の「か」の一文字で英訳した黒人の「勝」になる。

[駄弁。読者諸君、助かる編集者もない、て、に、を、はずかしい日本語書き下ろしながら、皆さんにどれだけ通じましたか?今までには、Feedbackゼロです!章頭歌としての蛇足になる上記は面白い?つまらない?今までお読みになった古狂歌は?四冊の本も出版したら、Black Holeに消えてしまった感じです。日本の為になる気の薬と思えば、困ります。Amazon書評すら一本もない。最初の書評を投稿すればアマゾンからオマケもあると思えば、まだ誰一人も書かなかった事は、一人の読者もないから当然、それとも古狂歌は面白くないか。ブログとTwitterに古今東西の名人の本を争って取り上げるも、広く閲覧した上で、無名の人と本と歌を有名にするような勇気は、皆無。或いは皆も多忙で文化は自分が造る心が目覚めず、始終流行に浮き流れるか。水鳥の飛び去る翼も無ければ、はやりに立ち向かう魚の尾もない。ただ皆と一緒に流れゆく。]


  

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