中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜
第36回 ドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」
憲武●月野ぽぽなさんの角川賞授賞式の2日後にね、ぽぽなさんのご夫君のピアノ演奏会がありまして、よちよち行ったわけですがよかったんですよとても。
天気●はい。
憲武●というわけで、クロード・ドビュッシー、ゴリウォーグのケークウォーク。
憲武●当日の演奏は前奏曲集の第1巻と第2巻で、これは演奏されませんでしたんですけどね。クロード・ドビュッシーはフランスの作曲家で、1862年に生まれて、1918年に亡くなってます。1862年は、アメリカでは南北戦争真っ只中、日本では生麦事件のあった年で、1918年は世界的には第一次世界大戦終結の年ですね。ま、そういういわば激動の時代を生きた人です。
天気●個人的には、分水嶺って感じがありますね。ドビュッシー以前の音楽と以後の音楽っていう…。よく知りませんが。
憲武●ドビュッシー以前は長調は長調、短調は短調と、はっきりしてたんですが、ドビュッシーあたりから、その辺がごちゃごちゃしてくる感じがありますかね。よく知りませんが。
天気●とくにドビュッシー後記は、そんな感じ。
憲武●このゴリウォーグとは黒人の人形のことです。19世紀末にイギリスの児童文学者ケイト・アプトンの考案したキャラクターということのようです。今では見た目完全にアウトの。
天気●はい。アウトですね。
憲武●この曲を初めて耳にしたのは、何かの番組のテーマ曲に使われてまして、東洋風の旋律が妙に耳に残りましてね。タイトルが分かってからは、黒人の人形がケークウォークという黒人の踊りを踊ってるさまをイメージしました。
天気●ラグタイムっぽいです。
憲武●ドビュッシーは1889年のパリ万博でガムラン演奏に接して、大変興味を持ったようです。
天気●ガムラン。すごいですよ。むかし、ステージの横から観てもいいというコンサートで、間近で聴いたのですが、響きやリズムがすごい。
憲武●ま、そこを糸口に東洋趣味に入って行ったのかどうか分かりませんが、日本の民話のBGMに使用されそうな郷愁を感じます。
天気●えぇ! 「分からない」んですか!
憲武●はい。ぽぽなさんのご夫君木川貴幸さんの演奏会で、アンコール2曲やってくれたんですけど、2曲めがすごく気に入ってしまって、この曲なんですけど。
憲武●エチュード 第1番「五本の指のための - ツェルニー氏に倣って」って曲です。初めのドレミファソファミレドという発声練習の音階が螺旋階段のようで、下って行くと、不思議な世界が開けてるって感じを受けました。
天気●キラキラしてますね。
憲武●ツェルニー氏って誰でしょう。
天気●え? 練習曲で名の残る人でしょ? バイエルから始めて、やがてツェルニーへ、という。よく知りませんけどね。
憲武●ああ、なるほど。ベートーヴェンの弟子で、つまらない練習曲をいっぱい作った人ですね。するてーっと、この曲は皮肉ってるのかな。
(最終回まで、あと965夜)
(次回は西原天気の推薦曲)
2018-02-04
中嶋憲武✕西原天気の音楽千夜一夜 第36回 ドビュッシー「ゴリウォーグのケークウォーク」
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