2008-01-20

10句作品テキスト 岡村知昭 ふくろうワルツ

ふくろうワルツ    岡村知昭


ふくろうの涎なりけり不凍港

霜焼とおぼしきアコーディオンかな

散髪にあたり雪達磨は忘れる

不二家このあとも椿の落ちにけり

ふくろうの脂に濡れて寝台車

凍蝶や正門跡と思わるる

晩婚に冬のいなづま刺さりけり

関西の騙されやすき枯木かな

高騰のもみじおろしや初戎

ふくろうの声ワルツには及ばざる

5 comments:

匿名 さんのコメント...

岡村知昭

凍蝶や正門跡と思わるる

岡村さんの口語調に慣れていたので「あれっ?」なんて思いましたが、あとの句の中身(意識ののながれ方)はまったく普段の感覚生活が見えてくるような口語調ですね。

でも、
 ふくろうの涎なりけり不凍港
 ふくろうの脂に濡れて寝台
 ふくろうの声ワルツには及ばざる
これら、ふくろう三態・・落とし方が解らない。わからぬところが、読みどころなのだろう。なにかおかしい。

これは・・・
 晩婚に冬のいなづま刺さりけり
 関西の騙されやすき枯木かな
 高騰のもみじおろしや初戎

騙されたんでしょう。諧謔が感じられまして・・わかりました。

匿名 さんのコメント...

 ふくろう三句では、

ふくろうの涎なりけり不凍港

でしょうか。深化を感じます。

匿名 さんのコメント...

ふくろうの涎なりけり不凍港 知昭

「深化」・・ねえ もしくは「進化」とか。
両方あげませうよ。彼の内部意識はダイナミックですよ。
今までは、現代俳句の形式をかりていたけど、ちょっと気張ってみて一時的保守返り
 「関西の騙されやすき枯木かな
  高騰のもみじおろしや初戎」
これなんか、むしろ、わかりやすいだまし方でしょ。この月並みの諧謔に託して。自分の感覚をなぞっているウチに、
ある種オリジナルな関わらせ方に気が付いたんではないかしら。
私が安心できる美意識ではないけど(笑)。
私はむしろ
「ふくろうの脂に濡れて」を納得させる座五が欲しい。
 どちらも、妙に笑いを喚びます。かすかにブラックな・・。この方向、案外本領開拓かも知れませんね。
 
「ふくろうの声ワルツには及ばざる」

これはやや洗練されたユーモアです。

匿名 さんのコメント...

 野暮な応答になりますが、この場面で、「進化」は使いたくないんです。それだけ。
 「今までの…」以下の議論は、よく考えてみますが、多分よく分からないでしょう。

匿名 さんのコメント...

野口さんへ。
うーん(笑)。つきあったらかえって野暮になったね。ごめんなさい。

句だけを見ても何かいろいろ混沌としているでしょう?この十句。
そのうえ(知っている者から見れば)新しく出てきたちょっとした古めかしもある。そのことについていささか大げさな表現を使ったまでですから。そうこだわらないでね。
 作品も読み方もどんどん変化して欲しいもの。