2009-11-01

後記+プロフィール 132

後記 ● さいばら天気


前号から始まった落選展2009。なにしろ22作品×50句。読みでがあります。すべての作品に重厚なコメントを書き込んでくださいとは申しません。なんでもかんでも、気ままにコメントをいただけると幸いです。表紙の下のほうに貼ったリンクは当分このままにしておきますので、ごゆっくりどうぞ。

※なお、石地まゆみさんの予選通過作品「葦の角」を、11月1日、追加掲載させていただいています。こちらでのメール見落としによる不手際で、石地さんならびに読者の皆様に多大なご迷惑をおかけしました。この場を借りてお詫び申し上げます。

 

ウラハイ=裏「週刊俳句」には、太田うさぎさんの「げげげ」10句を掲載(≫こちら)。シリーズ「俳諧スピーチバルーン」の第1回作品です。どうぞお楽しみください。

清水哲男詩集『スピーチ・バルーン』(1975年・思潮社刊)は、20代前半の私にとって宝物のような愛読書でした。「スピーチ・バルーン」(セリフの風船)とは漫画の吹き出し。詩集『スピーチ・バルーン』には、「チャーリー・ブラウン」「ポパイ」「のらくろ」など、漫画の主人公の名をタイトルとする20篇の詩が収められています。ああ、なんとポップでキュートな詩集でしょう。けれども、浮薄ではないです。ひりひりと痛みが滲みるような箇所もたくさん。幸いなことにウェブで読むこともできます(≫こちら)が、お持ちでない方は古書で手に入ります。ぜひ手にとって読んでみてください。紙って、いいものです。インクって、いいものです。

で、何の話だったかというと、そうそう、太田うさぎさんの「げげげ」です。俳句で、詩集『スピーチ・バルーン』のような試みができないものか(もちろん作品の質や内容の話ではありません。漫画の主人公を俳句に取り上げる。スタイルを借りるわけです)なんとなく考えていた私は、あるとき、太田うさぎさんが、戯れに作った「げげげ」句を目したとたん、それら数句と積年の企画と結びつきました。早速、10句を依頼。かくして、シリーズ「俳諧スピーチバルーン」のスタートとなったわけです。第2回は、いつになるか、どなたの作になるか、まったく未定ですが、ともかく始まりました。

掲載場所が、なぜ、「週刊俳句」本誌ではなく、「ウラハイ」なのか。それには確たる理由はありません。デイリーで続いている「ウラハイ」が、本誌とうまいバランスで続いていけばいいと思っています。「ウラハイ」はいわば、別冊でしょうか。あるいは、テレビの深夜枠みたいなものかもしれません(過激な内容が「ウラ」に廻ったり?)。ともかく、これからも、本誌「週刊俳句」同様、「ウラハイ」を愛していただければ嬉しいです。

ついでに、もうひとつのスピンオフ、「毎日が忌日」。こちらはデイリーの投句サイト。お気軽に句を、コメント欄に投げ入れていただければ幸いです。

 

さて、今週の本誌。10句作品は、角谷昌子さん、月野ぽぽなさん、小川春休さんと、バラエティ豊かなラインアップとなりました。角谷昌子さんはご存じのとおり「未来図」所属、俳人協会等でも活躍されています。月野ぽぽなさんは、第130号の「解題:「泥棒」20句についての覚え書き」ですでにお伝えしたように、2009年の豆の木賞を受賞。おそらく受賞後初の作品発表かと思います。小川春休さんは句集『銀の泡』をこの10月に上梓されたばかり。3作品を存分にお楽しみください。

山口優夢さんによる現代俳句協会青年部勉強会のレポートも、彼があとがきで予告したとおりに掲載。

小池康生さんの「商店街放浪記」は早いもので、21回を数えます。「帰宅ラン」はほぼ半年ぶりと、ひさびさの掲載です。そのほか、月末・月初恒例の「週俳の俳句を読む」も多彩な書き手が寄稿くださいました。

 

ゆっくりとお楽しみください。記事はどこにも逃げません。ネットをつなげば、そこにあります。俳句もどこにも逃げてゆきません。あせらず、ゆっくりと楽しめばいい。

ではまた、次の日曜日にお会いしましょう。


no.132/2009-11-01 profile


■角谷昌子 かくたに・まさこ
東 京在住。鍵和田柚子に師事。「未来図」同人。俳人協会幹事、国際俳句交流協会評議員、日本文芸家協会会員。詩誌「日本未来派」所属。句集に『奔流』『源 流』。木島始との共著に『バイリンガル四行連詩集〈情熱の巻〉』、角川書店 『鑑賞 女性俳句の世界(5巻 井沢正江)』、俳人協会紀要「中村草田男 第 一句集『長子』の時代」ほか。目下、揚羽蝶の飼育に熱中。近所の井の頭公園散策が日課(井の頭バードリサーチ会員)。

■月野ぽぽな つきの・ぽぽな
1965年長野県生まれ。ニューヨーク市在住。「海程」同人。「豆の木」「方舟」(NY)「NY句会」「青山俳句工場05」「はらもも句会」「卵の会」所属。2008年海程新人賞、2009年豆の木賞受賞。

■小川春休 おがわ・しゅんきゅう
1976年、広島生まれ。1998年「童子」入会。2009年「澤」入会。現在「童子」同人、「澤」会員。句集『銀の泡』(2009年10月)。サイト「ハルヤスミ web site

■小池康生 こいけ・やすお
大阪出身大阪在住。「銀化」新人賞受賞。「銀化」同人。俳人協会会員。

■LUGAR COMUM るが・こむん
1961年生まれ。渋谷育ち。走るベッドルームDJ。

■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952 年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)。2月1日に、第三号を発行。入手希望の方は、 yutakanoguti@mail.goo.ne.jpまで。進呈します。 サイト「野口家のホームページ」

■金子 敦 かねこ・あつし
1959 年神奈川県生まれ。1985年作句開始。1987年「門」入会。1989年門新人賞受賞とともに同人となる。1996年第一句集『猫』上梓。1997年俳 壇賞及び門同人賞受賞。2002年「門」を退会し「新樹」に入会。2003年「新樹」同人となる。2004年第二句集『砂糖壺』(本阿弥書店)上梓。俳人 協会会員。

■小林苑を こばやし・そのを
1949年東京生まれ。「里」「月天」所属。

■鈴木茂雄 すずき・しげお
1950年大阪生まれ。現在堺市在住。インターネット俳句結社「きっこのハイヒール」所属。「こてこてお好み吟行句会」に参加。HP「WEB 575 Internet Haiku Magazine」

■対中いずみ たいなか・いずみ
1956年大阪市生まれ。2000年「ゆう」入会。田中裕明に師事。04年、田中裕明逝去により「ゆう」終刊。現在、「椋」「晨」「静かな場所」同人。05年(第20回)俳句研究賞受賞。俳人協会会員。

■西村 薫 にしむら・かおる

1956年生れ、福岡県宗像市在住。菅原鬨也主宰「滝」同人。川柳結社「川柳くろがね」同人。ブログ「エロティシズムを詠む 生命賛歌」「この指とーまれ!」

■陽 美保子 よう・みほこ
1957年島根県松江市生まれ。札幌在住。平成12年「泉」入会。平成17年泉賞受賞。第22回(2008年)俳壇賞受賞。現在「泉」同人、俳人協会会員。

■五十嵐秀彦 いがらし・ひでひこ
1956年生れ。札幌市在住。現代俳句協会会員、「藍生」会員、「雪華」同人、迅雷句会世話人。第23回(2003年度)現代俳句評論賞。サイト「無門」

■山口優夢 やまぐち・ゆうむ
1985 年、東京生まれ。東京大学大学院修士課程2年。東大・早稲田など東京の学生俳句サークルやTHCの句会などに参加。第六回俳句甲子園団体優勝・個人最優秀 賞。第 二回龍谷大学青春俳句大賞大学生部門最優秀賞。第四回鬼貫青春俳句大賞優秀賞。好きな惑星は火星。ブログ「そらはなないろ」

さいばら天気 さいばら・てんき
1955年兵庫県生まれ。1997年「月天」句会で俳句を始める。1998~2007年「麦」在籍。現在「豆の木」会員。現代俳句協会会員。2003年「麦」新人賞、05年、06年「豆の木賞」受賞。ブログ「七曜堂

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