【2012落選展を読む】
田植唄からから大根インコまで
(20 高井楚良 21川奈正和 22大穂照久 23山下つばさ)
村越敦
佐藤文香
谷雄介
司会:上田信治
この対話は、2012/11/23 14:03から2012/11/23 17:03にかけて、skypeのメッセージ機能を通じて交わされたテキストを、再構成したものです。
村越: 14:10にネットカフェに落ち着く予定です。
上田: 谷さんからは、まだメール来てないです。
谷さんの電話分かります?
村越: わからないです、すみません…
上田: ま、とりあえず、待ちますか。
(……)
上田: あ、前回の藤尾ゆげさんの〈雹過ぎてパン粉の中に右手かな〉の、〈雹過ぎて〉という言い方が微妙なようなこと言いましたけど、あれはありですね。撤回します(句としての評価は変わらないのですけど)。
(……)
上田: 連絡とれないんで、佐藤文香さん、誘ってみますか。
上田が 佐藤を会話に追加しました
佐藤: こにゃちは
村越: こんにちは
上田: あ、よかった。
終わったら、夜、中華って思ってたんだけどOK? 谷さんと村越さんなら唐揚げとかかなあと。
村越: 中華超ラブです♡
佐藤: 私は、少食なので何でもいいです
上田: では、前半で参加の谷さんが、コレステロール過多のために退出されましたので、後半は佐藤文香さんに加わっていただき、「落選展を読む」進行させていただきます。
口開けは、順番にやりましょうか。村越→上田→佐藤→村越の順で。
●
20 高井楚良 ウタ
≫読む ≫テキスト
上田:では、まず高井楚良さん「ウタ」。一次予選通過作品です。
村越: 最初5句くらい連続して好きな句がならんでいて、冒頭から引き込まれる感じでした。
春の海出でて誰も狂はずにゐる
はだれ野や見知らぬ人と助け合ひ
逢へぬゆゑ詩を作りたる春の月
げんげとは指から指に渡すもの
このあたり空はげんげの色似合ふ
その他は、
木と水と親しくなりし巣立鳥
葉櫻に獸の匂ひゆきわたる
宇宙軸歪み戻らず桐一葉
あとかなり好きだったのが、
亡き父の毛生え薬や初鏡
でしょうか。ひろい意味での生死のモティーフを扱った作品が多く、抽象的な書きぶりには作者性を強く感じました。
上田: 押し出し、強いですよね。なかなか問題作だと思う。佐藤さん、いかがでしょう。
佐藤:このあたり空はげんげの色似合ふ
が好きでした。全体に、リズムのいい作品が多いように思いました。
ただ、フレーズといいますか、村越さんの言われる生死のモチーフで言えば、〈生きてゐる証の淚しぐれ傘〉の〈生きてゐる証の淚〉や〈生きること生き延びること冬螢〉の〈生きること生き延びること〉のようなところに疑問を感じます。
村越: たぶん、地震とか原発の話を念頭においてますよね。
佐藤: 最後の〈忘るるに使ふ一年雛流す〉は、拙句に〈忘るるにつかふ一日を蔦茂る〉があることもあり、フレーズが既存のものであったり、同案多数の感があるのが惜しいと思いました。
村越: なるほど。信治さんは、どのあたりに「問題作」だと感じる所以がありましたか?
上田: 言いたいことが多い句、という印象でした。
〈春の海出でて誰も狂はずにゐる〉〈誰も知らぬ地球の重さ蚯蚓鳴く〉たとえば、誰も、という言葉のある二句。
誰も、という裏に、自分は、という主張がある。自分は狂って当然と思うのに誰も狂わない、自分は知っているのに誰も知らない、ということなわけで。強烈な自負とナルシズムを感じます。それ自体は、ユニークな個性ですよね、ちょっと国士風な。
ただ、その…
佐藤: 谷くんからTEL。今から入ると
上田: おお、佐藤さんどうする、このまま居てくれていいですよ。
佐藤: ひとことずつぐらいしゃべる人になります
上田が谷を会話に追加しました
谷: おはようございます・・・(大汗)入りやすそうなとこで入ります。。
佐藤: まだ1つ目だよ
上田: よろしくお願いします。
村越: 自分ひとりは違う、自分だけは大衆に流されず、本質が見えているみたいな感じはたしかにあるかもしれないですね。
上田: うんうん、その主体のでかさというか壮大さのわりに、言ってることは常識的というのがあって、それ、両立しちゃダメなんじゃないかな……俳句は短いだけに、単なる言いっぱなしになってしまう。何をもって、当たり前を越えるかという話なんですけど、、、
そういう意味で〈春の海〉は、ちょっと舌っ足らずだけど、ありなような気がする。〈地球の重さ〉は、いただけない。
村越: なんかこう都会的なものへの批判的な目線、もっというと近代的なものへのアンチテーゼみたいなものを作品から感じました。たとえば
上田: 〈憎むべき都会の明かり戀螢〉とか?
村越: そうですね、原発を思わせる一連の作品もそうかなと。
逆に、作者にとっての理想郷はどこにあるかというと、たとえば〈田植唄世界の始めと思ひけり〉〈人ゆたか國は貧しく野燒かな〉とか、このあたりにあるように感じました。ちょっと見方がありきたりというか、枠組みとしては月並みかもしれませんが。
上田: 〈都会の明かり〉これ、もっと節電しろってことなの?
村越: なるほど。笑
上田: 超常識的・・・
村越: そう、一周回って常識的なんですよね、そう読んでしまうと。
上田: いや、節電って読めちゃうような発想の枠組みが、普通どまりなのが問題で。この句の場合は〈戀螢〉が、よくないんでしょうね。都々逸みたい。
稲作、共同体、まほろば、みたいな句の幻想味に、方向としては可能性感じました。あと〈このあたり〉の句いいですね。
佐藤: タイトルの「ウタ」は「歌」「唄」「詩」であり、〈この島はウタに恵まれ踊りけり〉という作品にあるように、ふるくから人々が声を出してうたいあげるようなことをさすのだと思います。
それがその現代文明への反発みたいな作品世界の柱になっているのでしょう。でも、この作品自体がやはり、常識の範疇にあるように思われます。
谷: おお、いい解釈。
村越: まさに、同感です。
ただ若干謎が残っている作品もあって、〈加速する亡者の月日つくつくし〉とか、あとは「毛生え薬」の句みたいな、そういう反・現代文明みたいなところから離れたものは面白いな、と。
佐藤: 〈加速する〉これは、ある人が亡くなってから月日がどんどんすぎていってしまうことじゃないでしょうか。そして、そこに新しい生命としてのつくしが、という、これもそんなに謎じゃないように思います。
〈毛生え薬〉は、たしかにおもしろくはあります。
上田: ある人が亡くなって、とは読めない気がする
村越: もっと、集合体としての亡者かと思いましたが…歴史的蓄積を感じるような。
上田: 亡者って、死者に対する敬意のない言葉でしょ。そのへん、いろいろ措辞に欠点はあるんです。
佐藤:加速するの位置とか?
上田: 亡者が加速したら、こわいよw
村越: なるほど 笑。あと、上五形容詞パターン多いっすね。
「憎むべき「頼もしき」「ゆくりなく」
佐藤: (谷くんそろそろ入れば?)
谷: 腹痛からの復活。。そして出力した紙を捜索中・・・やりとりが途中からしか見られてないんですが、
詠みこむ対象がどれも大きすぎ(世界とか天空とか宇宙とか)
村越: たしかに。 ただ、まぁ大景を読む、とはちょっと違うのかもしれないですけど、スケール感のある作品で揃えてこよう、っていうのはなんか憧れます。
佐藤: 「神様」「神」もある。
谷: あと、旅と昼寝覚とか、卵と原爆忌とか、寒いねとあたたかいとか、なんかこの季語の組合せ見たことがあるよね、みたいな句が多い、かな。
とは言え、佐藤さんの「ウタ」の解釈がいいと思った。
上田: おそらく田中裕明のある面を継いでいこうという意図が。〈ブータンも田を植ゑる國うたの國〉とか、あと〈正座する彼も古人衣被〉の句の、古人をふるびとと読むと故人の意味なんだそうで…。
村越: 〈なきひとにならひて坐る桃の花〉 ですね。
上田: 〈眼鏡とれば我も古人や秋燕〉っていう句もある。そういえば、國を憂えるような句が、晩年の裕明にあったなと。
谷: 「お」と思う句もあると思うんですけど、
葉櫻に獸の匂ひゆきわたる
紫陽花に雨は一粒ずつ刺せり
誰も知らぬ地球の重さ蚯蚓鳴く
とか
でも、あまり大柄な句が続いているので、50句このトーンだと食傷気味になってしまう。もう少し、細かい、つまんない世界に目を向けると、もっと幅が見えてきて読んでる方も面白がることができる要素が増えると思いました
以上です。
●
21 川奈正和 掌上
≫読む ≫テキスト
谷: 恵方より来る一球をわが打法
いいですね。
佐藤: 私もそれです
上田: ぼくは、それと、
生御魂お菓子の家に生まれしと
谷: 〈狼の毛もて書くべし立志伝〉とか。この作者の発想、作り方、どう説明しましょ。
佐藤: (谷くん、いないときに「口開けは、順番に」というかんじだったのですが、どうしますか)
谷: む、原則主義者だな・・・とはいえ、従います!(大遅刻)
上田: 谷さんつづけてほしいだす
村越: だす
佐藤: つづけろ、遅刻者!ww
谷: ひい、ごめんなさい。。
上田: ははは
谷: 面白い!と思う句と、これはもしかして・・・つまんないかもと思う句が混在している印象
村越: 僕はメモにひとこと「エネルギーがいる」って書いてありましたw
上田: かなり急いで書かれたのかな、と思いました
谷: でもちょっと今僕別の事を考え始めていて、最初に読んだときは「つまんない」と思ってた俳句が、改めて今日読み返すと面白い気がしている・・・
佐藤: 〈白魚を食み暮らしたる魚に火を〉の白魚→魚、〈劇いまだ劇中劇や花は葉に〉の劇→劇中劇、〈父の日の父は主峰に真向かへり〉父の日→父……〈薔薇色の世をかへりみる薔薇の門〉薔薇色→薔薇、というふうに、同じ言葉を素材違いで同居させている作が多いのが特徴だと思いました。
村越: 〈劇いまだ〉は、入れ子構造として結構成功してると思います。好きです。
谷: たとえば〈北窓を開きこの地に降りて来よ〉とか〈酒池肉林われ空杯に花受けて〉とか〈秒読みの声うつくしき秋の暮〉とか。
一句一句は面白いんだけど、この作者の創作対象の幅の広さにより、風景や登場物があっちこっちに飛ぶ。
上田: 谷さん、自分で、なにが面白くなってるんだと思います?
谷: 全体としての印象が散漫、それが村越君の「エネルギーがいる」ということなのかなと。コンディションの問題?落ち着いて読み返しているとじわじわな感じ。>信治様
佐藤: 〈血と汗と涙こぼるる露の秋〉とかは、もうこぼれまくって壊れちゃってる感じで、ここまで来ると、面白いんだか面白くないんだか。でも、のっちゃうとゲラになっちゃう感じで読みきってしまえるのかもしれない。
谷: それぞれ独立した50句とはいえ、連作性、全体でのストーリーテリング、作者の主体性みたいなものを、僕らは読むときに気にしてるんだろうな、と思った。
村越: ほんとうに。
上田: 〈酒池肉林〉の句とか 手拍子にあわせて作ってるような、書き飛ばし感があるんだけど。空杯っていうところが面白いの? みんな酒池肉林 おれだけいっしゅん空杯 みたいな?
谷: 血と汗と涙、は最初は決まり文句でつまんないなと思っていたが、敢えてやってるというところと、「露の秋」というのは付けてきたのは少し笑えるなと。
上田: それは、いくらなんでも手拍子過ぎる気もするんですが
谷: 充実(酒池肉林)⇔空虚(空杯)の対比ということではなく、ありえない、存在しえない風景の面白さ。
佐藤: 言葉からつくってる人、しかも途中「酒池肉林」「黙秘権」「廃仏毀釈」「遣欧少年」など、高校の教科書を読みながら妄想して作ってるのではないかとも思いました。
谷: 信治さんの言う「急いで作っている」ってその辺もあるのかな。
「花受けて」とか、何カッコつけてんの、みたいなところが面白い。僕にとっては。
上田: 〈絶滅種さながらに立て花吹雪〉はお気に入りになってきた。
村越: 言葉に重心がかかってる句は、どうしても成功の仕方がワンパターンになる気がするのですが…。
上田: おお
村越: あっ、おもしろい!終了!みたいな。
佐藤: 言葉の繰り返しが多いところも、急いで作ってる雰囲気出ますよね。口をついてどんどん出てくるのを書き起こしたような。
上田: よくいえば疾走感
村越: うーん、その特徴的な言葉(黙秘権)とかがもう少し実体をもって迫ってくる句があると、読み手の感動のバリエーションも広がって、いいと思います。
疾走感、つきつめれば言葉は言葉として独立しているナンセンスさは僕は好みなのですが、これだけだとやっぱり…という。
上田: かっこわるいカッコヨサ が魅力だという気はします。
谷: しかし、〈恵方より来る一球をわが打法〉はすごいですよ。中七まで作って、「を」で切って、「わが打法」はなかなか言えないと思います。
村越: すごい勇気ですね。
佐藤: 「わが打法」のあとの省略もきいてる。
谷: そうそう、気持ちよく打球が飛んでいく感じ。
上田: 万太郎の、もとよりわざのすくひなげ を思わせる名調子です
谷: でも、これ面白がるのってこの界隈だけかも知れないですよ。
村越: www
谷: 「俳句」誌上の座談会では引っかからないような気も・・・いやどうかな
上田: 予選もね
谷: まあ、予選は通らないでしょうね。
上田: いや、でも楽しませていただきました
村越: 同感です。
谷: かなり好評でしたね
上田: 谷さんが乗ったからw
谷: また変な句見つけた〈雨ふれといへば雪ふる淑気かな〉
村越: あ、〈若菜摘み一夫多妻の如くにて〉も好きですw
上田: ひどいw
●
22 大穂照久 都市
≫読む ≫テキスト
上田:大穂照久さん。第1回週刊俳句賞受賞者だったりする。
佐藤: (〈土降るや棺のごとき庭園に〉って、霾じゃないんですかね)
谷: (「土降る」っていう書き方もあるよ)
佐藤: (そうか)
上田: (歳時記的には、あまり推奨されないでしょ、たしかに)せっかくなので、佐藤さんから
佐藤: 今のことを書こう、という徹底した意識のある句と感じました。うがっとこける作品もありますが、好感のもてるものが多かったです。
上田: 句をあげていただけますか
佐藤:
猫柳眺めている猫沖へ行けよ
屋上に空のあふれる皐月かな
遠い火事ぼくには口内炎がある
とくに、「遠い火事」の句が好きでした。「ぼくには口内炎がある」の「は」「が」の助詞のつかい方、さっぱりした字余り。「遠火事」と言わないところも、俳句的なところから脱する意志があるように思います。
谷: 猫柳は僕も好き。中八、下六ののたりのたりがたまらんね。 ほしいりつららわれにくれよ、以来の下六。
村越: 猫柳、ぼくもいいと思いました。
上田:
蛍烏賊ひとり眼をちぎりちぎり
瓶ビール海の深さを思いけり
吊るされて窓拭く人や秋うらら
飛行船しずかに流れクリスマス
村越:
メーデーや君の着ぐるみぬいぐるみ
紫陽花の見える満員電車かな
谷: 全体的な印象は佐藤さんと同じく、発展途上っぽい。が、きらりと光る句がいくつかあるね。
村越: あと〈撃ちおえて水鉄砲の軽さかな〉も。
あやかさんの言うとおり、ザ・20代・男の句!という印象がありました。全体的に。くるりとかが歌ってそうな。
佐藤: やはり特筆すべきは恋の句のずっこけ加減ではないでしょうか。20代男子特有の。
村越: 恋の句!ほんとうに。
谷: 確かに>あやか氏
上田: え、どこがそんなに
村越:
公園の落ち葉を散らすふたりかな
毛布抱く君の紅茶はすぐ冷める
谷: もうやめて・・・これ以上・・・耐えられない・・・
佐藤: あと、
ともすれば夕立ややもすれば愛
切手貼る愛を込めつつ貼る痛いか
村越: 切手!!大きく×ついてますw
上田: 毛布抱く は、だめかなあ?
谷: 〈コンセント抜く春の夜のかなしみに〉愛の対象がコンセントならまだましなのに。。
上田: え、コンセントは、愛の句なの?
佐藤: 毛布抱くは、私が×です。毛布抱く君、すぐ冷める君の紅茶、両方言ってしまうと愛情過多。
上田: 紅茶がメタファってしまうか。
谷: (正しくは、プラグ抜く・・・かな)この句を恋の句と呼んでしまった自分がこわい・・・>信治さま
村越: 君ー毛布ー紅茶ー冷めるの言葉の連なりが、もう、ありふれすぎてる感じがして。
谷: 彼女が帰った後の句か・・・いたたた>毛布
佐藤: 〈ともすれば夕立ややもすれば愛〉は、作者は自信満々の可能性がある。が、しかし。
谷: が、しかしだ。
上田: ああ、もうやめてあげて
佐藤: w
上田: あるいは、大穂くん、逃げて。
村越: 〈夕凪や火力発電所が彼方〉とか突き放した書きぶりのほうが真骨頂を発揮できてる気がします、やっぱり。
吊るされて~は信治さんも挙げてましたけど、好きです。
上田: 火力発電所と水鉄砲の句は、既視感あるけどね。
谷: 【再掲】切って貼る愛を込めつつ貼る痛いか
村越: 痛いかが…痛い。
谷: 〈秋の雨犬の背中のやわらかし〉とかもさりげなくいいですね。
上田: 〈飛行船しずかに流れクリスマス〉凝ってないけど、いいクリスマスの昼だなあ、と思いました。
村越: いいですね!愛せる句。
谷: いや、それ僕も好きです「流れ」のうまさですね
村越: あーでもリア充じゃないと書けないですね、それ。その余裕は。
上田: んなこたあない
村越: そうですね。笑
谷: 村越君、飲もう。
上田: 油を
谷: もうお酒がないと耐えられないよ。
油も
村越: やりましょう。
上田: じゃあ、大穂さんには、会ってお伝えすることにして
谷: 〈瓶ビール海の深さを思いけり〉は類想あるでしょうか。
佐藤: それ、私も結構いいとおもいました。
上田: 瓶ビールって言葉の、今ならではの持ち重り感が、海の深さに通じてるので、ないような気が>類想。
谷: 持ち重り感!(餅・・・餅想い感) ですね。ありがとうございます!
餅想いキュン。
あ、すいません、次いきますか・・・
上田: ああ、お腹空いてきた
村越: 次、いきましょうw
佐藤: (化粧しながらやってます)
上田: 予約4人にしなきゃ
佐藤: 酒♪
谷: 餅って・・・逆から読むと「ちも」だ・・・
上田: ちょっと村越さん進めといてくれますか
谷: (句会もやりましょう)
村越: あ、はい。笑
谷: やりましょう→ヤリましょう
佐藤: (ちもって何)
村越: ヤリましょう
谷: ちも・・・あの恐るべきちも・・・
佐藤: 遅刻人の暴走をとめるのだ、
谷: あるいは、めそ・・・あの恐るべきめそ・・・
むにゃむにゃ・・・
●
23 山下つばさ 晩年
≫読む ≫テキスト
村越: では、 晩年 山下つばささん。いきますか。
谷: むにゃむにゃ村越!村越るーじゅ!
村越: 起きてください。笑 ゆーすけさんから、お願いします。
谷: えっ、まだ準備できてないよ(ちも)
村越: あやかさんはどうですか?
谷: ばか、あやかさんはおめかし中だよ。。
村越: (はっ)では、むらこしからいきますね。えっと、僕、この一連はめっちゃいいと思いました。好きでした。
佐藤: まじでか。
村越: ええ。こう、漫画的な世界観というか。
佐藤: 大根のやうなインコだよ?
上田: 村越さん、遠慮無く言ってやって
村越: いいじゃないですか、大根インコ。
あのーシュールなんですけど、不思議と共感できる作品が多いなという印象で読んでいてとにかく面白かった。
上田: 王妃のような石もゐるよ
谷: 大根インコwww
村越: 連作の良さをじゅうぶん出し切っていると思いました。
谷: 歯の生えた風船も忘れないで!!
佐藤: 〈芋を煮る芋に翼の生へるまで〉だよ?
谷: (大根のようなインコに共感・・・だと!何を言っているんだこの男)
村越:
蟹を追ふ鳥のかたちのワンピース
空蝉を髪に付け合ふ遊びかな
らんちうもシーツの白が眩しさう
『ONE PIECE』全巻並ぶ部屋の薔薇
泣きわめく人に集へる蛍かな
母馬の野菊のやうに老いにけり
マンホールに人一人消ゆ冬の朝
得しものをしつこくつつく寒鴉
序盤だけで、こんだけ抜いちゃったっていう。
上田: アヤカさん、評価できないことのポイントは?
佐藤: 大根インコとか、翼芋で50句なら、評価します。でも途中で、
耳朶を過ぎて落花となりにけり
梨の花鉄やはらかくなる温度
拾ひやすき骨を拾ひぬ春の闇
青葉へと母消え父の現るる
眼帯をはづし緑雨を走りけり
こういうのがある。まぁ、眼帯は面白いですけど。
谷: 翼芋ww
そうね。村越君の挙げた「寒鴉」もふつーだな。でも大根インコと翼芋で50句だと、予選通らないよ。
村越: まぁ、それは普通ですかねぇ。
佐藤: 〈トーストの上のバターのやうに蔦〉もだけど、比喩が突飛で、突飛なだけなのは詩じゃないと思う。いや、詩じゃなくてもいいんですけど、これだと面白がらせにとどまってる、という気がする。
谷: 「突飛なだけなのは詩じゃないと思う」( ..)φメモメモ
村越: トーストはちょっとわからなかったですね…
佐藤: 〈歯のない人が笑つてゐるよ桜の下〉とかも、いかにも、こわがらせよう、みたいなところがあります。
村越: 歯のないひとの句は、こわがらせてるんですかねぇ…。僕にはそこはかとない愛着とか、見える気がしますけど。
谷: わかるわからないでいうとわかる。でも、それ面白いんでしたっけ?という改めての問い
上田: この人のって、早いか遅いかっていうとすごい速い俳句ですよね。
蟹を追ふ鳥のかたちのワンピース
蚊柱をよけ教会の屋根真つ赤
泣きわめく人に集へる蛍かな
母馬の野菊のやうに老いにけり
マンホールに人一人消ゆ冬の朝
発光す一心不乱に土筆摘み
転がつて老子に出逢ふ蜜柑かな
文体にためがないっていうことなのかな。
村越: 発光す、大好きです。銀行員が蛍光するのにちょっとコンセプトは近いですかね。
上田: 「一心不乱」で分かりやすくなってるんだけど、それもふくめてね
佐藤: マンホールに人が消えたり、ぽたりぽたり、みたいなのがあって、歯のない人、と来ると、石原ユキオの憑依系じゃないですけど、はじめの方だけ読んだら、連作でホラーをやろうとしてるのかと思いました。
谷: でも、徹底してホラーはやれてないのね。
村越: えー、ホラー狙ってないとおもいますよーまったく。笑
上田: ホラーとか奇想っていう文脈でもなさそうだよ、もっと能天気
佐藤: はい、途中から違う、と思いましたが。そういえばぽたりぽたりはもう一度出てくるんですよね。〈鳩尾を離るる椿ぽたりぽたり〉
上田: コーヒーとかマンホールは、現実寄りに書いてみましたってだけなんじゃないかな
谷: ぶれてる?過渡期?
村越: 同じモチーフが出てくるのは、ちょっと欠点として気になりました。空蝉を髪につける、も2回。
谷: そうね
村越: シーツと、白、動物。
上田: 今日の作者後半3人は、早書きしてる感じする
谷: でも、同じものが2回出てくるのは、俳句の連作の作り方としてはひとつあるとは思うが。
佐藤: それはそうです。わかりやすさからの超現実みたいなことがやりたいんだとしたら、村越さんが言ったように、せっかくの50句をもっと有効につかわないと損だと思いました。
村越: >ゆーすけさん それはそうですね。
上田: 阿部青鞋とかって、すごい早書きだったそうじゃないですか。 そういう、つるつる進む書き方の可能性ってあるとおもうんですよ
谷: (村越さま、その件についてはまたのちほど・・・)
上田: そのなかで、いろいろつまづきはあるんですけど、いい句もあるし、方向もおもしろいんじゃないかと思いました。
村越: そう、「いい句」がちゃんとあるというのがポイントだと思います。安心して読める句が。それも書けて、同じトーンで大根インコも書ける。すごいなと、思ったのです。
上田: それを楽しむ読み手は必要、という書き方ですけどね。大根インコは、見たまんまだけど好きだな。
谷: 〈押し退けて雛壇上を目指しけり〉という句。お内裏様目指して駆け上ってる感じでしょうか。
上田: 雛壇は、俳壇だったりしないのかな
村越: あーなるほど。笑
上田: いや、いろいろの社会的ヒエラルキーってことでいいか
谷: 雛、檀上か雛檀上か、詠みにくいですね
上田: まあ、それは、あまりおもしろくないよ
村越: 〈かちんこちんの肉の塊花の雨〉
上田: かちんこちん どう読めと
谷: か「ちんこ」ちん
村越: …
谷: 肉の塊・・・品がなさすぎる・・・
上田: 君がだ
谷: ちも
村越: あ、冷凍じゃないんですか?w
上田: そう。でも、桜と肉は普通。
佐藤: ラスト2句が
ジーンズの尻に夏服のリカちゃん
日焼けして猫耳カチューシャよく似合ふ
というのも、一句一句がダメというのではなくて、何を思ってこの肉、じゃなかった二句をラストにしているのか、というところです。
村越: あー、それは思いました。
谷: で、しかしだ。
上田: じゃ、ま、そろそろ存分にお話しいただいたということで、いいでしょうか。
村越: いいです!
谷: いいです!
村越: で、しかし、以降はいいんですか?笑
上田: それはラードでもなめながら
佐藤: おめかし終わりました!
谷: なんか、角川賞、予選する人大変そうですね。
村越: 僕が俳人だったら、予選はやりたくないです!恨まれそう。
上田: ぼくは超やりたいな>予選。角川俳句賞取ったら、やらせてもらえるのかしら。
えー、本日は、みなさまお疲れさまでした。ありがとうございました!
佐藤: はい!
谷: (が、しかしだ。の間違いであった。>で、しかしだ。)
村越: ありがとうございました。かなり、おもしろかったです!
上田: いや、たしかにおもしろかった。このブロックこの面子でやれて良かったです
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2012-12-16
【2012落選展を読む】 (20 高井楚良 21川奈正和 22大穂照久 23山下つばさ) 村越敦 佐藤文香 谷雄介 司会:上田信治
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