【週俳4月の俳句を読む】
so cute!
対中いずみ
嫁がゐて四月で全く言ふことなし 西村麒麟
よく晴れた四月のある日、ふと「言ふことなし」と思う一瞬がある。
あたたかくてお日様が気持ちよくて、ただそれだけで「言ふことなし」と思う時がある。
何だか猫みたいな気分だ。
そこに「嫁」がいるなら、もはや「全く」「言ふことなし」だ。
ついこのあいだまで恋人だった人がいまや確かに「嫁」なのだ。
「嫁」という言葉がこんなに誇らしげにキュートに使われるとは、知らなかった。
東京を離れずに見る桜かな 西村麒麟
新婚旅行に海外へ行こうと思っていたのが、仕事の都合で流れたとか。嫁の実家か、自分の故郷に帰るつもりでいたのが帰りそびれた、とか。
ともかく東京以外のどこかの地を思っている。
だから、この句はちょっと寂しい。
それは作者の気分がちょっと寂しいからだけれど、もしかしたら、「東京」という言葉も、「桜」という花も、ほんとうはちょっと寂しいものなのかもしれない。
第311号 2013年4月7日
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第312号 2013年4月14日
■豊里友行 島を漕ぐ ≫読む
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第313号2013年4
月21日
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第314号 2013年4月28日
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2013-05-19
【週俳4月の俳句を読む】対中いずみ so cute!
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