【本の紹介】
ほんとに可笑しい
岩崎哲也著『都市の樹木433』
三島ゆかり
amazonのカストマーレビューが実に興味をそそるものだったので買ったのだが、ほんとに可笑しい。なんなのだ、このポケット図鑑。
ヒメリンゴ:初冬には深紅紫色に熟し、まずい。鳥たちもすぐ食べず厳冬期まで残し、ほかに実がなくなるころに食べる。それでもまだ、まずい。の如し。著者の岩崎哲也氏、何者だ。歳時記も書かないかな。
ザクロ:果実が熟して割れた様子は、見てはいけないものを見たような雰囲気があり、数々の迷信や奇伝を呼ぶ。鬼子母神神話から人肉の味がするといわれるが、私には分からない。
タラヨウ:葉うらを棒などでこすると、短時間のうちに茶色~濃褐色へ変色する。都市では普通、葉のうらに下手な殴り書きがあって、達筆だったためしがない。
ヒイラギ:鋸歯が非常に鋭く、丸く穏やかに見える老木の葉でも、先端は鋭い一棘となるので安心できない。爪の間などに刺さると、長時間ヒリヒリと痛む。よし尻を出せと妻が言う。
ニワトコ:葉をもむと、サクランボの蜜漬とも似て少し違う甘臭さがあり、枝を削ると、ピーマンとエポキシ樹脂を混ぜたような青臭さがある。
ハコネウツギ:花はラッパ形で白色に咲き、のちに紅色になって紅白が入り混じり、おめでたい。
ワジュロ:崖面に巨神兵のように郡立することがあるが、景観的には悪くない。
●
これ、ほんとうにふまじめなところ以外はまじめなんだけど、面白いなあ。ルーペの使い方の写真例が、猫がルーペを覗いていたり。
ハクモクレン:成熟するまでは、つんとして上を向き花芯は見せない。美しさは続かず、瞬く間に汚れて花芯を開く。晩夏、花芯が鉛直に立ったまま残り、受粉した場所がふくらむのを亀頭や睾丸に見立て喜ぶ。
ゲッケイジュ:乾燥させた葉は香辛料として世界各地で使われる。カレーなどに葉を入れることがあり、これ自体は美味しくないことがよく知られている。
キョウチクトウ:葉柄の基部や主脈に沿って葉をちぎると、無色透明の液が恥ずかしいように出てきて、かすかにべとつく。
いいなあ。作者はこの人だ!
http://www.awaji.ac.jp/alpha/outline/staff-sennin/iwasaki/2_4ecaffbb5b0ac/
1 comments:
爆笑。好みなのでさっそく買いました。丁度、都会に越して来たので樹の種類も覚えられるし楽しみです。心配なのは電車の中で笑うかもしれないことだわ。(^o^)
コメントを投稿