〔今週号の表紙〕
第328号 谷戸の夏
有川澄宏
谷戸(やと)、谷津(やつ)、谷地(やち)。いずれも丘陵地が永い時間をかけて浸食され、谷の形状になった地の呼び名です。関東から東北にかけて、地域によって呼び名が違うようですね。
里山と呼ばれる丘陵地の木々と、水稲が栽培された谷戸の風景は、縄文時代から昭和、平成まで、時の政治や経済のありかたひとつで、変遷を繰り返してきたと言えます。(ちょっと話が大きくなりすぎ)ですが。
私が住んでいる武蔵野では「谷戸」と呼ぶのが一般的なようですが、実は、私の家は、その谷戸を埋め立て造成したところに、ウン十年まえに建てました。今、振り返ると、自然破壊の先兵だった訳です。
高度成長期に、地方からやってきた人々に、住宅を供給するため、谷戸が埋め立てられ、周囲の楢や赤松が繁っていた丘陵は削られて、新しい街が続々と出来ました。ニュータウン、ベットタウン。私のところも最初は村で、町になり、そして市になったのは1970年。
『週刊俳句』の執筆者や読者の多くは、生まれて間もなくか、まだ生まれてないか‥‥ ^_^;
で も、80年代にはいると、谷戸や雑木林のある自然の価値が見直され、あちこちで、保全・保護の風潮が高まり、写真の谷戸のように、必要最小限の手入れしか せず、昔からの風景がそのまま見られる場所が増えてきました。絶滅危惧の動植物も住む、こんな風景を、ぜひ、残したいですね。
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