2013-09-08

林田紀音夫全句集拾読 282 野口裕


林田紀音夫
全句集拾読
282

野口 裕





昨日華燭の取り残されて歯ブラシなど

平成四年、未発表句。歯ブラシが孤独感を演出するなど、想像も出来ないところだが、句となってみると実に有効に働いている。平成五年の海程発表句は、「祝婚の富士見て帰る昼日中」。その後の状況に取材している。

 

連れ立って華燭の旅の途中に富士

祝婚の朝から晴れてひと急ぐ


平成四年、未発表句。前項に紹介した海程発表句は祝婚の帰りだが、この二句は祝婚に赴く途上と思われる。連れ立つのは老夫婦、ひとは我が身というところか。

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