週刊俳句2013年アンソロジー 66人66句
狼(おいぬ)炎ゆ遠流の神の香を辿り 竹岡一郎 第302号
鳥がきて雪の林のひかりけり 宮本佳世乃 第302号
生るるまでをりし日の闇雪催 照屋眞理子 第303号
寒夕焼から国境がこぼれおちる 皆川 燈 第304号
立錐の餘地春雨の傘立に 中原道夫 第305号
石段を掃き下りつつ春寒し 岩田由美 第305号
春眠の覚めぎは我を呼べるこゑ 新延 拳 第306号
菜の花を掠め船上アナウンス 中田尚子 第306号
背鰭あるものが過ぎゆくシクラメン 杉山久子 第306号
魚島や天気は筆のごと崩れ 黒岩徳将 第307号
花屋より流れ出てくる春の水 大穂照久 第308号
き…桐生は日本の機どころ
姉は手だれの
枯桑を伐らば天霧る
桐生かな 外山一機 第311号
島を漕ぐエイサー太鼓の月と太陽(ティダ) 豊里友行 第312号
光合ふ三面鏡や鶴帰る 西村麒麟 第312号
木曽の風身中に入れ鯉幟 渡辺竜樹 第313号
廃屋の窓開いてゐる春の暮 篠崎央子 第314号
鯉幟はこぶ少女の人魚めく 松尾清隆 第314号
音立てて雨が苺の花に葉に 菊田一平 第316号
黴臭き夫のレコード愛の歌 金中かりん 第317号
九階から上半身出す聖五月 金原まさ子 第318号
氣の重きことなり瀧を見にゆくは 閒村俊一 第319号
朝曇トングつかえる小抽斗 石井薔子 第320号
雷雲や一角獣の蹄痕 秦 夕美 第321号
まず裏を使い涼しき日なりけり 永末恵子 第322号
隅つこが好きな金魚と暮らしけり 飯田冬眞 第323号
ハッピーアイスクリームハッピーアイスクリームハッピーアイスクリン マイマイ 第324号
とりあえず墓はあります梅漬ける 小野富美子 第325号
我の目に映る鬼灯市を去る 岸本尚毅 第325号
紫陽花は家禽と思ふ撫でやすい 藤 幹子 第326号
百合で打てほら深爪が攻めてくる ぺぺ女 第326号
どんみりと枇杷の実のありうす情け 鳥居真里子 第327号
獅子眠るにほどよき高さ夏の月 ことり 第327号
金堂を遠くにきざみおくらかな 彌榮浩樹 第328号
河骨のひらく高さに目のみゆる 鴇田智哉 第329号
橋涼み水のゆくへに次の橋 村上鞆彦 第329号
まあなんて暗い恋楽天な海女 井口吾郎 第330号
夕ぐれはあまた翔び立ちなめくじら 久保純夫 第331号
顔寄せてミントにほへる浴衣かな 高柳克弘 第332号
ソプラノの空や少女のキシロカイン 佐々木貴子 第333号
私を月につれてってなんてはつなつのぬるい海で我慢してね 内田遼乃 第333号
秋の暮とは階段の見ゆる窓 村田 篠 第334号
秋立つや氷に賞味期限なく 小早川忠義 第335号
秋扇としていつまでも使ひけり 今泉礼奈 第335号
おお男娼コート絡まる野菜市 仁平 勝 第335号
満月に少しほぐしておく卵 北川美美 第336号
なめくじり夢殿ひとつ産みおとし 高橋修宏 第337号
日傾くときの日影と日陰かな 西原天気 第338号
タクシーを降りれば雪の田無かな 上田信治 第338号
戸をたたくやうに夜長の胎動は 山口優夢 第339号
波音のあかるき小鳥来たりけり 生駒大祐 第339号
秋の象見るよコーヒーうすく淹れ 村越 敦 第339号
斃獣と呼ばれしものを露に置く 鈴木牛後 第340号
爆発以後豚が育ててゐるコスモス 荒川倉庫 第340号
秋声のひとつに2Hの鉛筆 髙勢祥子 第340号
城跡や柄長まじりに山雀も 本井 英 第342号
うしろより口笛よるの鰯雲 山岸由佳 第342号
ナッツの瓶ゆびでまさぐり日短 関根誠子 第343号
桃剝いてそこここに付く指の痕 大和田アルミ 第343号
梟に胸の広場を空けてをく 岩淵喜代子 第344号
俎板の傷光りをる小六月 相沢文子 第344号
虎ふぐのうらがへしてや虎の柄 石 寒太 第345号
短日の息吹き込んで鳴る楽器 高崎義邦 第345号
シリウスや人を吸い込む東口 五島高資 第346号
やよ狐大斎原(おほゆのはら)に尿せむ 柿本多映 第347号
青写真なみだのうみにうみなりが 小津夜景 第347号
水圧で洗ふ車体や日短 奥坂まや 第348号
2013-12-29
週刊俳句2013年アンソロジー 66人66句
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