後記 ● 村田 篠
あっという間に12月です。
というふうに、「あっという間」という言葉を私たちはかんたんに使いますが、いつから数えて「あっという間」なのかと考えてみると、おそらくほとんどは年の明けた1月1日から、ということだと思います。もちろん実際はまったく「あっという間」ではなく、この1年の間にはいろいろなことがあり、そのいろいろなことを思い出すこともできるのですが、年末になると記憶も詰まってくるのか、「あっという間」という言葉に違和感を抱くことはありません。
泉鏡花の『草迷宮』という小説のなかに、「瞬く間」の時間の長さについて語られている部分があります。人の瞬きの間にも時間は流れている。その瞬間は視界から消えているものも、実際には存在し続けている。続いていることを圧縮してブラックホールのように見えなくしてしまうのは、人間の意識です。「あっという間」には、じつは膨大なものごとが詰まっているのだと、私は泉鏡花に教わりました。
こういうことを、俳句でできないかな、と思います。できるんじゃないかな、と思っています。
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それではまた、次の日曜日にお会いしましょう。
no.345/2013-12-1 profile
■石寒太 いし・かんた
1943年生まれ。俳誌『炎環』主宰、『俳句αあるふぁ』編集長。
■高崎義邦 たかさき・よしくに
本名壮太(しょうた)。1991年9月16日生まれの乙女座。愛媛県出身。高校在学時に俳句に出会う。現在、東京外国語大学一年英語専攻。
■島田牙城 しまだ・がじょう
1957年京都市生まれ。波多野爽波に師事。「青」編集長などを経て、現在「里俳句会」代表。邑書林編集長。句集『火を高く』『袖珍抄』『誤植』。 邑書林 俳句の里の交差点
■谷口慎也 たにぐち・しんや
1946年、福岡県大牟田市生まれ。20~30歳ころまで、俳句・川柳・短歌・詩の雑誌に同時参加し実作を重ねる。それ以降俳句に焦点を絞り、幾つかの句誌を経て、平成元年に『連衆』誌創刊、現在に到る。句集に『谷口慎也句集』『残像忌』『俳諧ぶるーす』。評論集に『虚構の現実―西川徹郎論』『俳句の魅力―阿部青鞋選集』(共著)。師事する俳人は特になし。賞罰ともに多少。
■佐藤文香 さとう・あやか
1985年生まれ。句集『海藻標本』。
■橋本 直 はしもと・すなお
■野口 裕 のぐち・ゆたか
1952年兵庫県尼崎市生まれ。二人誌「五七五定型」(小池正博・野口裕)完結しました。最終号は品切れですが、第一号から第四号までは残部あります。希望の方は、yutakanoguti@mail.goo.ne.jp まで。進呈します。サイト「野口家のホーム ページ」
■雪井苑生 ゆきい・そのう
北海道生まれ、埼玉県在住。「里」同人。俳句、写真、写真俳句それぞれ模索中。写真俳句ブログ「Photo haiku-galrie★Lapin-neige」
■村田 篠 むらた・しの
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