自由律俳句を読む 26
萩原蘿月 〔2〕
馬場古戸暢
前回に引き続き、萩原蘿月句を鑑賞する。
とろとろする父と子一人の子眠り 萩原蘿月
前回に紹介した「子ども健やか父の酒もゆたか」と合わせて鑑賞したい句。「とろとろ」からにじみ出る幸福感とあたたかさが、こちらにまで伝わってくる。
夕日夕日みんな女の子堀端 同
夕焼けのなか、堀端に座っている子供たちは皆女の子だった。こうした景が通常だったのは、昭和までのことではないか。平成の世にはなかなかみられないように感じた。
乙女よこち向くな沈む沈む陽 同
乙女と作者の関係が気になる句。この赤い景は、古き良き時代の浪漫を感じさせる。
梨を食ひ終わつて夜はひとりのものと知つた 同
梨を食っている間は、食うことに夢中なので気付かない。なにもすることがなくなった夜にはじめて、自身が孤独であることを思い知るのだろう。
酒を買ひ足して又新しい悲しみにゐる 同
前掲句の梨を食い終わったあとの出来事のようにもみえる。感情的なところを受け付けない人もあろうが、こうした直接の表現も悪くないと今夜は思った。
※掲句は、上田都史ほか(編)『自由律俳句作品史』(1979年/永田書房)、そねだゆ「内田南草(※蘿月への言及あり)」(『自由律句のひろば』創刊号/2013年)より。
2014-01-12
自由律俳句を読む 26 萩原蘿月 〔2〕 馬場古戸暢
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